ムーラン・ルージュとフィギュアスケート
こんにちは。
本記事では、
映画「ムーラン・ルージュ」の劇中歌を使用したフィギュアスケートのプログラムをまとめていきたいと思います。
映画「ムーラン・ルージュ」はニコール・キッドマンとユアン・マクレガーが主演のミュージカル映画です。舞台はパリ、作家志望の青年クリスチャンとキャバレー「ムーラン・ルージュ」の花形スター、サティーンの恋物語を描く作品。この映画は、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」と、ヴェルディのオペラ「椿姫」が土台となっています。
これまでこの映画の楽曲を使用した多くのフィギュアスケートプログラムが演じられてきました。今回はこの映画音楽を使用した数々のプログラムを振り返っていきたいと思います。(この映画を観たのが少し前なのでちょっと間違えているところがあるかも)
◯Nature Boy
◯Come What May
16 Vincent Zhou FS 2018 US Champs
・ヴィンセント・ゾウ 2017-18 フリープログラム
まずはデイヴィッド・ボウイのNature Boyから始まり、ヴァーチュー&モイヤ組のようにCome What Mayへと繋がっていきます。しかしこの編曲のCome What Mayはどこか悲しげなものです。少しテンポを遅くしているようですね。このプログラムを演じた彼のオリンピックも6位と素晴らしいものでした。4回転をバンバン飛んでいける非常に技術力の高い選手です。これからに期待が高まりますね。
◯Sparkling Diamaonds
・村上佳菜子 2018 ショープログラム
先日のプリンスアイスワールド2018にて初披露されたプログラムが、このSparkling Diamaondsです。(演技後半はジュニア時代に使用していた楽曲「ジャンピングジャック」)この曲は、花形スターのサティーンが主役としてムーラン・ルージュのショーに登場する場面で歌われる曲です。「ダイアモンドは女のベストフレンド」と高らかに歌われます。この場面で、ムーラン・ルージュに忍び込んだクリスチャンは初めてサティーンと出会います。村上さんのプログラムでは、彼女の溌剌とした雰囲気が振り付けとよく合っていて、とてもかわいらしいです。(とくにサティーンと同じタイミングで投げキッスする振り付けでは、全観客が悩殺)衣装もサティーンのものとよく似ていて素敵です。
◯Nature Boy
◯Hindi Sad Diamonds
◯One Day I'll Fly Away
◯The Show Must Go On
2015 US Nationals Ashley Wagner Free Skate
・アシュリー・ワグナー 2014-15 フリープログラム
ワグナー選手が2015年全米選手権において優勝した際のフリープログラムです。
Nature Boy のどこか悲しげな曲調から始まり、Hindi Sad Diamondsの終盤のフレーズ→One Day I'll Fly Away→The Show Must Go Onときれいにつながっていきます。One Day I'll Fly Awayはサティーンの葛藤を描いた曲です。この場面でムーラン・ルージュのためパトロンとなる公爵に身を売るのではなく、貧乏だけど心から愛しているクリスチャンと自由に生きることを渇望している彼女の心持ちが告白されています。Hindi Sad Diamondsはキャバレーの劇中でサティーンが登場した際に歌われる劇中歌の劇中歌です。The Show Must Go Onもまたその劇中で歌われます。これらの楽曲はそれぞれ独立しているのですが、全く違和感の無い楽曲編集でスムーズな繋がりのままで1つの曲として完成されているところが素晴らしいです。それぞれの曲の活かし方がうまいですね。サティーンの女性としての強さが表現されている曲の数々がワグナー選手にピッタリ合った素敵なプログラムです。
◯Your Song
2015 GPF Pairs SP Meagan Duhamel & Eric Radford Your Song by Elton John
・メーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード 2015-16 ショートプログラム
こちらもクリスチャンがサティーンに初めて対面した時に歌う素敵な曲です。この歌がきっかけでサティーンはクリスチャンに恋をします。曲の世界観とこの二人のダイナミックな演技がピッタリ合っていますね。このペアはこの演技で世界選手権で金メダルを獲得しました。
“How wonderful life is while you're in the world”という歌詞を瞬時に思いつくクリスチャン、やはり作家なだけある。
◯El Tango de Roxanne
◯Come What May
Tessa Virtue and Scott Moir's Moulin Rouge at PyeongChang 2018 | Music Mondays
・テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイヤー 2017-18 フリーダンス
この二人のフリーダンスはEl Tango de Roxanne→Come What May という構成です。
わたしはこのプログラムが大好きで100万回くらいは見ました。
まずロクサーヌのタンゴではキレッキレで息の合ったダンスで完全に観客を彼らの世界観に取り込みます。わたしは「ローーーーーークサァヌッ!!!!」の「サァヌ」でバシィッ!!と二人の動きがあったところで完全に心を撃ち抜かれました。
観客がもう彼らの魅力に弱りきったところで路線変更してロマンス系のCome What Mayを流してくるもんですから
トリュフ食べた後にフォアグラ食べさせる
みたいなものですね。この二人がやはり流石なのはCome What Mayが流れた瞬間まったく顔つきが変わるところです。ロクサーヌの時に見せていたキリッとした表情から一転、やわらかい表情へ。この曲は、クリスチャンは作家として、サティーンは女優として一緒に舞台を作っていく過程で歌われます。「高すぎる山も、広すぎる川も」乗り越えてきた2人の競技人生にぴったりの曲ですね。(I love youなのかは知らん)
終わり方もスコットの切ない表情がなんとも言えません。映画でも、サティーンがこの歌を最後に歌った後彼の腕の中で亡くなります。
(しかしオリンピックではこの演技が終わった後スコットが喜びのあまりテッサを力強くハグしすぎてめちゃくちゃテッサの背中が赤くなってたりドアを野獣のように開けたりするのでせっかく二人の物語に涙していたのですが笑うしかなかった)
◯El Tango de Roxanne
Kanako Murakami 2016 4CC SP 'El Tango de Roxanne'
2014 NHK Daisuke Murakami SP B.ESP2
・エフゲニー・プルシェンコ 2015 ショープログラム
・エヴァン・ライサチェック 2015 MWO など
ムーラン・ルージュと言えばなんといってもこの曲です。数々のスケーターがこの曲とともに歩んで来ました。村上大介選手は高橋選手にあこがれてこの曲を選んだとか。
どのプログラムも素晴らしいですが、わたしは村上佳菜子選手のロクサーヌが大好きです。この曲はどちらかというと男っぽい雰囲気なので、それを真っ黒のタイツをあわせたスタイルの衣装で踊る彼女が女のかっこよさを全面に出していて惚れるしかないですね。彼女のダイナミックなジャンプも曲調にとてもあっています。
まだまだムーラン・ルージュの曲を使用しているスケーターはたくさんいると思いますが、主なものをまとめました。どのプログラムも素敵なものばかりです。この映画の劇中歌には何か人を魅了する力がありますね。この映画は本当に素晴らしいものなので、観たことのない方はぜひ観てみてください。