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フィギュアスケートの編曲やオペラについて雑多に書くブログ

これからオペラを観始める人に本当におすすめしたい公演5選

 

こんにちは。

最近友人がブログを毎日更新しているので、そのモチベーションにつられて私も久々にブログを書いてみようと思った次第です。

 

さて、みなさんはオペラを観たことはありますか?

ほとんどの人が、オペラに対して「つまらなそう」「ねむそう」「敷居が高そう」などと感じていると思います。しかし、本当にそうでしょうか?

 

答えを言うと、「オペラ好きといえども一部はそう思うものもある」です。

私も高校1年生の頃からオペラを見始めましたが、音楽でも漫画でもあるように、「合わない作品」というものは存在します。(実際、私はドイツオペラが少し苦手です…)

 

しかし、オペラにはたくさんの種類があり、またオペラの演出自体にも台本に忠実なものから独自の解釈が入ったものまで様々なものがあります。同じ作品といえどもたくさんの側面から作品を堪能できる機会が増えてきました。

なので、オペラを「作品」単位ではなく「演出」や「公演」単位で見てほしいというのが私の希望なのです。

 

というわけで今回は、完全に個人的な見解ではありますが、さまざまな切り口から初めての方におすすめのオペラの公演を紹介していきたいと思います!

 

 

王道のオペラをゴージャスなセット&演技派歌手の泣きの演技を観たい人におすすめ!MET2018-19「椿姫」

Trailer


The MET: Live in HD 2019 - La Traviata Trailer

 

みんな絶対聞いたことある「乾杯の歌」


La Traviata: “Libiamo, ne’ lieti calici”

 

王道中の王道、ヴェルディ「椿姫」です。

あらすじは、かんたんに言うと「愛を信じない高級娼婦が純粋無垢な青年に本気の恋に落ちる」話です。

 

その中でも、かなり正統派な演出がこのメトロポリタン・オペラ(MET)の公演。

私は割と変わった演出を好む方なのですが(ひねくれているので)、この演出版は大好きになってしまいました。

 

なんと言っても主役のヴィオレッタ役のディアナ・ダムラウさんの美貌・声・演技!どれをとっても素晴らしいです。巧みな歌声と表情で確実に観客を泣かせにきます。私は3リットルくらい泣いたせいで映画館が水没しました。

そしてセットと衣装の豪華さもすばらしい限りです。これこそオペラの醍醐味と言えるようなラグジュアリーなセットが普段と違う世界へ私達を連れて行ってくれます。

 

解釈も台本に則っており、理解しやすいので初心者にはおすすめです。

METの公演はオンデマンドで視聴できます。(たしか1ヶ月15ドルくらい)字幕は残念ながら日本語はありませんが、英語でも理解しやすいような内容なので心配はいりません。

www.metopera.org

 

1人の美女を奪い合うドラマチックな友情×恋愛劇!海の上を舞台にした東南アジアの雰囲気が香る隠れた名作 MET2015-16「真珠採り」

Trailer(METではありませんが同じ演出です)


Bizet's The Pearl Fishers ǀ English National Opera

 

ダムラウ(推し)が歌うアリア


Diana Damrau sings an excerpt from "O Dieu Brahma" - The Metropolitan Opera

 

え、またダムラウかよ〜〜??と思われるかもしれませんが、はい、そうです。なぜなら推しなので。ははは。

 

というわけで2作目もMETでダムラウな「真珠採り」です。

実はこの作品、かの有名な「カルメン」を作曲したビゼーのものです。世間的にはあちらのほうが有名ですが、私はこの作品が大好きなのでどうしても紹介したくなってしまった所存です。

あらすじは、かんたんに言うと「男の友情が1人の美女の再来によりぎくしゃくしてしまい、村全体が動く大事態に!一体全体どうなっちゃうの〜〜?」な話です。

 

この演出版は、まずキャストが激アツです。

主役はトキメキのびのびボイスを持つテノール歌手マシュー・ポレンザーニさん、その友人であり村の首長である男役はかわいすぎるアラフォーバリトンおじさん、マリウシュ・クヴィエチェンさん、最後に2人が取り合うことになる、我らが演技派ソプラノ美女、ディアナ・ダムラウ様です。

例えるならば、ドラえもんアンパンマンとコナンが同時出演しちゃった感じです。それは絶対傑作やろ、という感じですね。

 

さらに、オペラでは珍しく東南アジアが舞台になっているところも良いですね。

オペラの「固定観念」のようなものをいい意味でやさしく壊してくれる素敵な作品です。

ストーリーも他のオペラのドロッ、とした感じよりはジャンプっぽい爽やかな恋愛、友情模様となっておりますので、幼い頃ジャンプを読んで育った方には満足していただける内容となっていると思います!!

 

www.metopera.org

必ず彼女に恋をする!美人ソプラノ歌手の華麗な衣装チェンジとどこか懐かしいフランスのおしゃれな旋律が魅力的 2007 ベルリン公演「マノン」

マノンが最大級に調子に乗っている時期のアリア(衣装がめっちゃかわいい)


Je marche sur tous les chemins - Anna Netrebko (Manon 2007) (subs: EN-DE-ES-Croatian)

 

3作目は、「マノン」です。こちらもあまり初心者向けに紹介されることは無いかもしれないのですが、私はめちゃくちゃ大好きな作品です。大好きすぎて初めて手に入れたオペラのDVDはこのマノンです。

 

あらすじをかんたんに言うと、「田舎から修道女になるために出てきたマノンが通りすがりの青年と恋に落ちるも、都会に染まってお金が大好きになりすぎちゃうあまり破滅しちゃう話」です。このあらすじだけでたいへん面白そうですよね。

 

そんな感じでマノンは最初は純粋無垢な田舎っぺだったのに、パリに染まりどんどん調子に乗ったパリピへと変貌してしまうのです。(パリだけに)

その変貌具合を、これもまためちゃくちゃな美貌と演技力で完璧に表現してしまうのがソプラノの大スター、アンナ・ネトレプコです。

 

この演出版、衣装が5回ぐらいガラッとかわり田舎っぺなマノンも、シックなマノンも、マリリン・モンロー風のマノンも、死にそうなマノンも楽しめるのですが、ネトレプコはすべて完璧な着こなしでそれぞれのマノンになりきってきます。「もうこのオペラはネトレプコのために書かれたものなのでは?」と錯覚するほどです。

 

彼女から湧き出る魅力がマノンに愛らしさを爆発的に与えてくれるので、かなり最低な女なはずなのに全く憎めません。

 

音楽もシャンソンのようなフランスらしさの香るおしゃれな旋律です。

シェルブールの雨傘」とか好きな人は絶対好きになってしまうと思います。見よう。

 

Manon [Blu-ray] [Import]

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古代エジプト×ジャグリングの刺激的な演出が観たい人におすすめ!MET2019−20「アクナーテン」

Trailer


Akhnaten: Trailer

 

ガラッと変わって4作目はエジプトを舞台にしたオペラ「アクナーテン」です。

もうこれは完全に世界史が好きな人に見てほしいやつです。

私は高校時代世界史が大好きで資料集を舐め回すように眺めていたような人間なのですが、そういう人間がこれを見ると豪華絢爛な衣装の精巧さや独特のアマルナ文化の演出への取り入れ方が素晴らしく感激のあまり震えます。(逆に世界史が好きでないと「ん…?」となる内容かもしれません…)

 

あらすじはかんたんに言うと、アメンホテプ3世の後を継ぎ、アクナーテンが一神教での治世を進めるも、民の反乱が相次ぎ…?」な話です。

 

また話自体は普通に歴史に則ったものなのですが、演出と音楽のマリアージュが素晴らしいです!作曲者のグラスさんは、繰り返しの旋律を多く用いることで有名らしいのですが、この演出版はその特性を上手く利用してなんとジャグリングで音を視覚的に表現してくるのです。音の盛り上がりとともに高く上がるボールに「うおおおお〜〜!」と思わず声が出そうでした。ジャグリングにこんな可能性があったとは!と感激した経験でもあります。

 

これを「普通」のオペラだと思って観ないほうがいいとは思いますが、オペラの演出の可能性というものをグッと引き上げてくれる経験になると思います。

 

オペラ演出の最先端テクノロジーを感じたい人に!ROH 2011「ドン・ジョバンニ

 Trailer


Don Giovanni trailer (The Royal Opera)

 

最後は、こちらも王道のドン・ジョバンニです。

あらすじはかんたんに言うと、ドン・ジョバンニが女たらしすぎるあまり痛い目に合う」話です。コメディータッチのお話なので笑える場面も多数あり、気軽に観られるのが初心者に優しいポイントです。

 

しかし、上の動画を見ていただけるとわかると思いますが、このロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)の演出はみなさんの思い描くオペラとはかなりかけ離れたものではないでしょうか?

 

そうです、こちらのオペラの演出にはプロジェクション・マッピングがふんだんに使われているのです。こちらの演出を務めたEs Devlinさんはアデルのコンサートやドバイ万博のイギリス館を監修するなど今めちゃくちゃキテるアーティストです。素晴らしくないわけがないですね。こちらの公演を見るとテクノロジー×オペラの可能性がぐんと広がる機会になると思います。

 

また、こちらのタイトルロールを務めるのは先程「真珠採り」でも紹介したバリトン界の大スター、マリウシュ・クヴィエチェンさんです。またかよ?と思われるかもしれないですが、推しなので致し方ありませんでした。

 

シアトル・タイムズも「会場中の酸素を吸っているようだ…」と褒めまくる最高のバリトン(それを本人は最高のドヤ顔とともに公式サイトにデカデカと載せる)なので、みなさんもぜひ推してください。

 

Mozart: Don Giovanni [Blu-ray]

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  • 発売日: 2014/09/01
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おわりに

いかがでしたでしょうか?

「普通プッチーニ1つくらい入れるやろ」とか「あれ、アイーダは…?」みたいな声が上がると思いますが、あくまで異なる視点からさまざまなオペラを楽しめるようにチョイスした5つなので、他にもいろいろおすすめするべき作品はあると思います。

 

しかし、「作品」単位ではなく「公演」「演出」単位でオペラ作品と向き合ってみることは、良質なオペラ体験をする上でとても大事なことだと思いますので、どんどん同じ作品でも演出や公演による違いを楽しんでほしいなと思います!(まだ私もにわかですが…w)

 

ではでは。

ヴェルディの『椿姫』を3つの公演で観比べてみた

 

こんにちは。

 

今回は、前回カルメンというオペラを3つの演出で見比べたように、ヴェルディ作曲の「椿姫」の演出3つを比べて感じたことをそのままに書いてゆきたいと思います。

 

現代風の社交界がシックでおしゃれ、グラインドボーン音楽祭2014


La traviata: 'Brindisi' ('The Drinking Song') – Glyndebourne

 

まずはじめに私が観た椿姫は、BSプレミアムシアターで放送されていたものです。

 

この椿姫を見てまず感じたのは、目に嬉しいということ。

ヴィオレッタ役のヴェネラ・ギマディエワさんが本当にお綺麗で、少しツンとした雰囲気のヴィオレッタがよくお似合いでした。さらに今ノッているスターテノール、マイケル・ファビアーノ様との出会いのオペラも、この椿姫でした。

現代風のセットや衣装だったので、初心者にとって理解しやすい演出ではじめてのヴェルディ鑑賞にしてはとても良いものを見れたと思います。

ちなみに、この椿姫を見たあとファビアーノくんのことを調べまくっていたので、ロイヤルオペラハウスのボエームでファビアーノくんを大画面で観れた時はとても感動しました。と、同時にここのインタビューではじめて普段彼の頭には髪が生えていないことを知りめっちゃ驚きました。ちなみに彼はカツラを被ると10歳くらい若返る特殊能力を持っています。

 

La Traviata [Blu-ray]

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この公演無くして椿姫は語れない、ネトレプコ&ヴィリャゾンのザルツブルク公演 


La Traviata "Sempre libera" Anna Netrebko Russian subtitles (HD 720p)

 

次に見た椿姫は、この公演無くして椿姫は語れないとも言われそうな、ザルツブルク音楽祭2005年の椿姫です。

 

皆さんご存知、ネトレプコ 様とミスタービーンの超絶最高なバディを一躍大スターにした公演ですね。

 

主役2人は今思うととても豪華ですが、セットは驚くほどシンプルで、ヴィオレッタの社交界のドレスも1枚で済むお手軽さ。

しかし、その奥に秘められたメッセージにはとても深いものを感じます。大きな時計は、彼女の人生の残り時間のようなものを、亡霊のような男は、死の世界から彼女を迎えに来た使者のようです。

この2つの要素が、この話をより濃厚にし、ヴィオレッタの心の状態を見る手助けみたいなものをしていたように感じます。

(後で知ったのですが、この椿姫のヴィオレッタは、精神病を抱えているという設定だそう。)

私がこの演出で最も心に残っている場面は、第二幕二場で、賭博で儲けた金をアルフレードが大きな時計の上に乗ったヴィオレッタに投げ、服の中にまでねじ込んでしまうシーン。悲鳴とも聞こえるヴィオレッタの叫び声とアルフレードの憎悪の気迫に、胸が締め付けられました。おそらく、この3つの椿姫の中でここの部分のアルフレードの怒りの描写がもっとも激しかったのはこの演出です。

 

そしてやはり、ネトレプコ 様の若々しいピンク色に染まった声色。生き生きとしたヴィオレッタそのものです。最近のまろやかで優しいネトレプコ様の声もいいですが、この時代のピンと張った若い歌声も大好きです。

  

ヴェルディ:歌劇《椿姫》 [DVD]

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「私が夢に見た椿姫」ダムラウ&フローレンスのMET2018−19作品 


La Traviata: “Libiamo, ne’ lieti calici”

 

そして3番目に観た椿姫は、メロトポリタンオペラ2018-19シーズンのライブビューイングのものです。最初に言っておくと、私はこの椿姫が一番好きです。そして、この演出が最も楽譜に忠実な、"正統派"な演出です。

 

この椿姫の最大のポイントは、なんと言ってもヴィオレッタ役のディアナ・ダムラウ様。オペラ界のメリル・ストリープと呼ばれるのも納得の素晴らしい演技力に、度肝を抜かれました。私はよほどのことが無い限り映画などを見ても泣かないのですが、この椿姫はその「よほどのこと」でした。

 

ダムラウ様の素晴らしい演技力が涙を誘った場面はたくさんあったのですが、とくに第2幕の別れのシーン、そして最後の場面が素晴らしかった。

2幕の別れのシーン、「私を愛してアルフレード、私があなたを愛しているのと同じくらい」

ここはこのオペラの一番の盛り上がりどころでしょう。「泣いているのかい?」というアルフレードの問に「いいえ、ほら、見て!笑っているでしょう?」と答える彼女の必死さ、多くの観客の胸が痛むポイントです。しかし、ダムラウさんのここのヴィオレッタの笑顔の繕い方、すごく胸に迫ってくるものがありました。

そして最後のヴィオレッタの死でも、生への渇望を感じさせるダムラウ様の力強い演技に涙が止まりません。

それだけではなく、ダムラウ様は彼女が「病気である」という重要な表現がとてもうまかったように感じます。いくら歌わなければいけないとはいえ、「病気である」という表現がなければこのオペラは成り立ちません。今までオペラを見てきた中でたまにモヤモヤ感じる不満みたいなものはまさにこれ、この人病気なのに元気じゃね?みたいなやつです。(ボエームのミミなんかでも言えますが。)

しかし、ダムラウ様は病気の存在感を出しつつも歌唱力は高いままで維持する、みたいなとても繊細で難しい演技が最高に上手でした。今まで最期の場面で感じていたモヤモヤみたいなものが払拭された記憶がここにありました。

彼女の「目」や「声」はほんとうに多くの表情を持っています。ヴィオレッタはそこでたしかに生き、アルフレードを愛していたのだと思わせてくれる素晴らしい演技でした。

そして、演出もお見事。

幕開けは、ヴィオレッタの死の床で始まります。ベッドで眠る(たぶんもうこの時点で亡くなっている)ヴィオレッタに、その手を握るアルフレード、それにジュルモン、アンニーナ、アルフレードの妹、医者がベッドを囲みます。

ここで、ヴィオレッタは目を覚まし、アルフレードの頬に愛しげに触れるのですが、アルフレードは一向に彼女のほうを向いてくれません。それどころか、ベッドの方を向き、うつむいたまま言葉を失っているようです。そのままヴィオレッタはベッドから起き上がっても誰も反応せず、ここで彼女ははじめて自分がもうこの世にいないことを悟るのです。そのまま彼女は過去の夢に吸い込まれるようにその場から消えます。この幕開けの後、第一幕が始まる憎い演出です。

先に上げた2つの演出も、この部分ではヴィオレッタの運命を悟ったような演出がなされていますが、この演出の丁寧な描写は3幕に向けて見事なつながりを生み出してくれている、素晴らしいものです。

 

さらに、上2つの演出とこの演出が異なっていたのは、アルフレードの妹の存在です。この演出版では、なんと第2幕、第3幕とアルフレードの妹が実際に登場するのです。

第二幕ではヴィオレッタを説得しにジュルモンとともに彼女の家を訪れます。

この演出。いや、もう、本当に「ずるい」ですよね。

だって、純粋無垢な少女の人生、未来が自分の行動1つで変わるということを彼女のまぶしさは残酷なまでにヴィオレッタに知らしめているのです。これほど彼女にとって辛いことがあるでしょうか。ヴィオレッタに選択なんて最初からなかったのだと言わされているようなものです。

第3幕でも、病気で苦しむヴィオレッタの後ろをウェディングドレスを来た彼女が通り過ぎるシーンが。

これは2人の間に完全な対比が生まれた瞬間でした。

これから未来が始まり、愛する人を持つまぶしい少女と、病に倒れ死が迫る、愛する人を失った娼婦。という残酷過ぎる対比。

もう私はこの作品を見ていてヴィオレッタが気の毒でならなかったのですが、実はヴィオレッタが多くの人に見守られ、死んでいく時アルフレードの妹もここで彼女を見守っていたのです。

ここの描写を見た時、「あれ、この子も運命から逃れることのできない被害者なのではないか?」という考えが私の中にめぐりました。

別に彼女は自分で兄と元娼婦を引き離したいと言ったわけでもなく、ただその純粋な目で父の行動を見つめていただけでした。 そして結果的には、自分の”せい”ヴィオレッタの短い余生を台無しにしてしまったという贖罪のようなものを長い人生の中でずっと抱えていかなければならないのです。

こんな風に、ここにも「道を踏み外した女(ラ・トラヴィアータ)」がいたのか、という新しい考えも浮かんだ新演出でした。(完全に推測の域ですが...)

 

舞台装置は、最初から最後までほとんど変わりません。

幕間のおなじみ舞台装置チェンジ映像もただシーツを変えたり散らばった紙くずを片付ける、大道具さんにとってはとっても楽な演出版ですね。しかし、その分ただ1つのセットの完成度が芸術品のようで、リンカーンセンターの金色のディティールが舞台の中に入り込んだような細かい装飾がとても美しいです。

さらに、この演出ではテーマとして「春夏秋冬」を掲げているので、セットの色が光の当たり具合によって大きく変化します。衣装も、第1幕のパーティでは春のみずみずしく明るいドレス、第2幕のパーティでは暗く、落ち着いた色のデザインのドレスが特徴的でした。このドレス、コーラス全員1つ1つ異なるデザインなのに、統一感があり見事にセットとまとまっていました。どの衣装を見ても細かい装飾のこだわりがすごいのです。

しかし、どちらのパーティにしてもヴィオレッタ以外の衣装は色彩豊かなのですが、ヴィオレッタの衣装だけはワントーンです。春は純白、秋はゴールド1色のボリュームのあるドレスでした。周りがみんな細かいディティールがの際立ったカラフルなドレスを着ている中で、彼女のワントーンのドレスはひときわ目立っていました。アルフレードヴィオレッタ以外のその他大勢と同じような衣装を着ていることも、彼女を主人公だと印象づける重要な手がかりですね。

 

まとめ

いかがでしたか?

同じ椿姫でも、解釈や演出によっては印象は異なるのですね。

今回も3つ目の作品を見てから書きなぐったようなブログでしたが、また素晴らしい「椿姫」に出会えたらここに追加していこうと思います。

ダムラウ様がMETを最高の椿姫というのだから、この先そう簡単に素晴らしい椿姫に出会えそうもないですが…(笑)

ではでは。

 

 

 

 

 

2018年個人的ベスト〇〇まとめ

 

こんにちは。

ずっとブログ休んでたのに立て続けになんだこのやろう、という感じですが、インフルエンザになってしまったので外に出られず暇なのです、お許しください。

 

ということで今年の個人的ベスト〇〇を今書いておいたら来年書くかはともかくとして自分が見返すと面白いのでは?、と思いたったのでさらっと書いてみることにします。

 

 

2018年ベストプログラム


Wakaba Higuchi - 2018 Japanese Nationals SP

 

ベストプログラムは、樋口新葉選手のSP「エナージア」です。このプログラム、とにかく音楽も振り付けも中毒性が高すぎます。

このプログラムと出会ってからというもの、頭の中のSofiTukkerがタッタカタッタカエナージア、タッタカエナージア〜何を喋っているかは全くわからないのに頭から離れません、最高です。しかも節々の振り付けも印象的なものが多すぎて私の頭の中のワカバがずっと踊っています。

というわけで、エナージアはシェイ=リーン・ボーンさんにお歳暮を贈り忘れたことが2018年最大の後悔だと感じるほどには最高なプログラムでした。

 

Energia

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2018年ベスト演技


Kaori Sakamoto - 2018 Japanese Nationals FS

 

2018年ベスト演技はやっぱり坂本花織選手の全日本選手権でのフリーです。

最後に堂々と優勝をかっさらっていった男前、カオリサカモトに全スケオタが惚れました。ボルトの8倍くらい早いスピードとギュインギュイン進んでいく力強さがすごすぎて、「ブレードにロケットでも付いているのでは???」と疑いかけましたが付いていませんでした。ブーケのマカロンも食用で無かったとしてもカオリ様になら食べられたかったことでしょう。(??)

  

 

2018年ベストタツキマチダ


CaOI2018 Tatsuki Machida 町田樹 人間の条件 —— マーラー・アダージェット

(サムネちょっとこわい…)

もちろん今年のベストタツキマチダは実演家引退の演技「人間の条件」に決まりです。私はこの演技をさいたまスーパーアリーナの会場で観ておりましたが、この演技が終わった直後生まれた瞬間の次にたくさん泣きました。(*3番目はタツキが現役を引退した時)

この演技についていろいろ書くと5万字は軽く超えてしまうのでここで抑えておきます。ひとことで言うと町田樹という男の運命が凝縮された総合芸術の傑作です。

しかし、来年からのベストタツキは「演技」では無くなってしまうのが、少し物悲しいですね。

 

町田樹の世界 (ワールド・フィギュアスケート別冊)

町田樹の世界 (ワールド・フィギュアスケート別冊)

 

 

2018年ベストスコット・モイヤー

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かわいい小鳥さんを1人にしたおスコ


 2018年ベストスコット・モイヤーは参加必須のエキシビション練習に行かずにアイスホッケーの試合を観に行ったスコット・モイヤーです。

おスコ…どうやって1人で練習するんだよテッサ…でもアイスホッケー見に行きたい気持ちもちょっとわかるわ…

 

2018年ベストけしからん


Elizaveta TUKTAMYSHEVA EX - Skate Canada 2018

けしからん!!!!!!

 

2018年ベストオペラ


METライブビューイング17-18《皆殺しの天使》MET初演・新演出 予告映像

 

ベストオペラは、2018年1月に松竹系で上映された、METライブビューイングの「皆殺しの天使」です。いや〜〜これの衝撃は未だに残っています。先に言っておくと今もう一度これを観に行けと言われて観に行ける自信はありません

しかし未だにこの心を掴んで離さないのはその中毒的でもある不気味な音楽と、高貴な人々が荒れ狂う狂気的な人間模様、不条理すぎるストーリーです。

人生で1度は観に行って損はないオペラだと思いました。なんかもやもやするけど。

皆殺しの天使 ルイス・ブニュエル HDマスター [DVD]

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2018年ベストバレエ


Play | Alexander Ekman & Ballet de l'Opéra de Paris | Palais Garnier 2017 (DVD/Blu-ray trailer)

 

今これ見たら上演されたのは2017年だったらしいのですが、私が放送を見たのは2018年だったので、2018年ということにしておきます。

ベストバレエ(ベストとか言えるほど見てないけど)は、パリ・オペラ座の「Play」です。このバレエは、コンテンポラリーダンスと言っても良いものだと思いますが、音楽から演出、振り付けまで全てが衝撃的なものでした。今までの“バレエ”の常識を良い意味ですべてぶっ壊す最高の作品です。(あくまで私の中の常識ですが)

オペラ座に緑のカラーボールが尺八の音とともに大量に落ちてくる後景は今でも忘れられません。

その中でも感銘を受けたのが、踊りとともに流される以下の詩です。

(省略)

わたしが形而上学的な格言に基づいて思うのは
我々の存在 物理的な世界の基本は 遊び心だということだ

何かに縛られる必要は一切ないのだ
どこかに向かうのではない 到達すべき目的地があるわけでもない

(省略)

しかし我々はそういった考えで行動するように教えられていない

学校教育からはまったくちがう印象を受ける

すべては評価される

子どもたちを猫なで声で誘い全員を幼稚園に行かせる
すばらしい 幼稚園が終われば小学校だ

進級し 小学校を終え 中学・公庫jに進学する
ほら、勢いに乗ってきたぞ!

大学・そして大学院にまで進む
大学院を終えると社会人だ

そしてどこかの会社に入りシャツをうる
ノルマをこなす 成功の足跡が聞こえてきた

40歳位でアナタは言う「ついにたどりついた!」と
でも 気分はたいして変わらない

騙された気がしてがっかりする
実際 ひどく騙されたのだ

すべてを逃してしまったのだから

定年を楽しみに働く人たちに目を向けると良い
貯蓄にいそしむ彼ら しかし いざ65歳になると 気力が残っていない そのまま高齢者の仲間入りだ
すべては自分たちを騙し続けた結果なのだ

我々は人生を旅や巡礼に例えてきた

成功や天国を最終目的地に掲げた旅だ

しかし 見失っていた 人生は美しいのだ

音楽が流れている間は 歌ったり 踊ったり すべきだったのだ

(「Play」より)

とても深く考えさせられるような内容ですね。

この哲学的な詩も含めて、私の中で2018年最大の衝撃作でした。

 

2018年ベスト衣装


Met Opera: Samson et Dalila

 (↑このサムネの衣装!)

2018年ベスト衣装はメトロポリタンオペラのサムソンとデリラにおいて、第1幕でデリラが着ていたピンクの衣装です。

メゾソプラノはズボン役が多く、なかなかこんなにゴージャスで女性らしい服を着ることが無いようなので、インタビューではデリラ役のエリーナ・ガランチャ様がおはしゃぎになっておられました。かわいすぎますね。

 


Elīna Garanča in Strauss: Der Rosenkavalier at the Met (2017)

(↑「薔薇の騎士」でズボン役を演じるイケメンすぎるエリーナ・ガランチャ様)

 しかし、ディカプリオ風のイケメンも妖艶な美女もどちらも完璧に演じ分けができてしまうエリーナ・ガランチャ様、最高すぎにもほどがあります。重婚してくれ。

 

2018年ベストドラマ

episode2 けんかをやめて

episode2 けんかをやめて

 

いや、もうこれはおっさんずラブ完全優勝でした。

(2話を貼ったのはこのシーンが面白すぎて本格的にハマりだしたきっかけになったからです。)

このドラマが愛される所以は、登場するすべてのキャラクターがキャストや制作陣から愛されて作られたものだからだと思います。

しかしそれゆえ感情移入しすぎた挙げ句、見てない人にはわからないかもしれませんが、全世界のおっさんずラブファンがそうだったように6話から最終話の7話までの1週間がめちゃくちゃ苦しかったです。あ、褒め言葉です。

 

 2018年ベストグルメ

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KOH(King Of Hamburg)

2018年ベストグルメは外はステーキ、中はユッケのさわやかのハンバーグです。

あまりのおいしさに350g(?)の肉が一気に目の前から消えてしまい、「あれ、私いつのまに胃へのテレポート使えるようになったけ???」と思いました。

私はコイツのせいで普通のハンバーグが食べれなくなってしまいました。罪な肉ですね。

 

 まとめ

 あくまで個人的“ベスト”ですが、2018年はこんな年でした。

ジャンルが混在しすぎてなんかよくわからない感じになっていますが、1年を振り返る機会としてちょうど良かったです。インフルで暇だし

 

それでは、みなさん良いお年を。

 

 

 

フィギュアスケートにおけるオペラ編曲まとめ

 

こんにちは。

 

オペラの楽曲を使用したフィギュアスケート作品は、これまでに多くのスケーターによって演じられてきました。歌詞入りの曲が解禁してからはオペラ歌手の力強い歌声の入った音源も使用され始め、フィギュアスケートでもますますオペラの魅力を深く感じることができるようになりました。

 

というわけでこの記事では、それらのプログラムをまとめていきたいと思います。(めちゃくちゃ長いのでさらっと読んでくださると幸いです)

※2018−19シーズンのプログラムとサムソンとデリラを使用したプログラムをいくつか追記しました!(2018−12−30)

 

 

 1.プッチーニ 「蝶々夫人

あらすじ

①長崎にやってきた海軍士官ピンカートンは長崎で15歳の芸者、蝶々夫人と結婚する。(当時アメリカ人将校の間で、現地の女性と結婚して滞在期間だけ遊び、本国に帰還することが流行っていた)

 ②幸せだった時間もわずか、ピンカートンは「コマドリが巣を作る頃に日本に戻る」と言い、本国へ帰る。

蝶々夫人は周囲の批判も受けながらピンカートンとの1人息子を育て、3年間彼の帰りを待ち続ける。

④蝶々さんの寝ている間にやってきたピンカートンは下女のスズキに自分がアメリカで結婚したこと、子供を引き取りに来たことなどすべてを彼女に話すように言う。(極悪人)

⑤すべてを聞いた蝶々夫人は子供を引き渡し1人自害する

 

一言で言うと、ピンカートンが最悪な話です。初演でも大ブーイングだったとか。しかし、一言では言い表せないような蝶々さんの美しさ、強さにこそこのオペラの魅力はあります。

この蝶々夫人を滑ることは日本人選手のある種の特権ですよね。蝶々夫人を彩る名曲の数々は、どこを切り取っても素晴らしいです。

 

宮原知子 2017-18 FS


Satoko Miyahara - 2017 Japanese Nationals FS
①第三幕の序奏(3Lo)
3年間待ち続けたピンカートンの白い船が港に来たことを見つけ、夜中襖に穴を開けて帰りを待ちわびている場面の終わり、もう朝になったころ。下女と子どもが眠る中、蝶々さんは寝ずに待ち続ける


②第二幕 ある晴れた日に(3Lz-3T,3F)
ある晴れた日に、ピンカートンが帰ってくることを信じて歌うアリア。周りの人すべてがそんな訳がないと言っても私は信じるという強い意志を示す。


③第二幕 ヤマドリの来訪(StSq)
ヤマドリという富豪が蝶々さんに求婚する場面。しかし蝶々さんは主人を待つという強い意志を持ち求婚を拒む。この場面の旋律が明るくアップテンポなのは、ヤマドリが来る前に領事シャープレスがピンカートンから内容は伝えずに手紙を貰った旨を蝶々さんに伝えたため。(しかし、その手紙はピンカートンがアメリカで結婚したことを伝えるもので、本人の代わりに蝶々さんに伝えて欲しいとの内容であった。)


④第三幕 さらば愛の巣(3Lz-2T-2Lo,2A-3T)
蝶々さんの寝ている間に帰ってきたピンカートンが、後悔の末に歌うアリア。『君が絶望する姿に耐えられない、僕は卑怯者だ!』と言い残し、真実を伝える義務を放り出す。


⑤第三幕 さよなら坊や(3S,2A)
すべてを悟った後、『名誉に生きられぬ者は 名誉に死ぬべし』と言い残し自害を図ると、そこにピンカートンとの一人息子が現れる。そこで、このアリアを最後に歌い自害。母を忘れないようにという旨を伝える。家に駆け付けたピンカートンが『バタフライ!!』と叫びオペラの終演。


⑥ある晴れた日に(ピアノver)
蝶々さんの魂が昇華したようなスピンで演技終了。『ある晴れた日に』の旋律はピンカートンの白い船がやってくるのを蝶々さんが見た場面でも用いられており、試合の度①に再び繋がっていくのではないかという見解も示す。

 

ピンカートンにムカつきすぎてムカつきポイントをめちゃデカイ赤字にしてしまいましたが、だいたいこんな雰囲気の編曲です。

宮原さんの編曲では、蝶々さんの悲劇の人生そのものを表現しているように感じられます。また、彼女だけでなく彼女を取り巻く様々な登場人物像も浮き彫りにさせ物語全体のキーポイントをまんべんなくちらしたとてもバランスの良い編曲です。

順番が上下しているのも、①の場面で②や③のことを思い出しながら帰りを待っているのだろうか、などと想像が膨らみます。ちなみに、③の軽快なヤマドリの来訪の場面の曲、実は原曲は日本の軍歌「宮さん宮さん」です。プッチーニは日本人女性を通じてさまざまな日本の曲を聞いていたそう。(「さくら」なども使われてます)

 

浅田真央 2015-16 FS


Mao ASADA - 2016 World Championships - LP (CBC)
①第1幕 「可愛がってくださいね」

 この曲は、ピンカートンと蝶々夫人によって歌われるものです。日が落ち、夜になっていくころ。アメリカでは、蝶をつかまえて針で閉じ込めてしまうそうですね!』と不安を装う蝶々さんにピンカートンは優しい言葉を投げかけます。しかし、その歌詞はその後の彼女の運命を暗示するものでした。


②第2幕 ある晴れた日に

 上記参照

 

浅田選手の編曲は、蝶々さんの日本人女性としての強さを感じられるものです。また、彼女の人生そのものではなく、彼女の深い胸の内をさらけ出したような編曲です。

わたしがこのプログラムで大好きなのは、彼女の冒頭の表情です。彼女の切ない表情は、愛の合唱を二人で歌っていた頃の幸せを思い出しながら、海の向こうからの帰りを待ち続けている蝶々夫人そのものでした。ある晴れた日にが後半になるにつれ彼女のさまざまな想いが溢れる振り付けと表情も絶品です。

 

山下真瑚 2018-19 FS


2018 SC Mako Yamashita FS ESP

①第2幕 「ある晴れた日に」

上記参照

 

山下選手の編曲は、フリースケーティングにも関わらず「ある晴れた日に」のみで構成されているところがポイントです。しかし、ずっと同じ音源のものを流しているわけではありません。前半は透明感のある女性ヴォーカルの歌声のもの、後半にはオーケストラによるヴォーカルなしの演奏が取り入れられています。

2度同じ曲を1つのプログラムに盛り込む挑戦的な編曲ながら、改めてこの曲のもつ力強さであったり、日本女性の奥ゆかしさを感じることができます。特に前半の音源は、清らかで神秘的な雰囲気が山下選手のスケーティングにぴったりです。

 

2.プッチーニ 「トゥーランドット

あらすじ

①王子カラフは冷徹の王女トゥーランドットに一目で恋をします。しかし彼女と結婚するには難問を三問正解する必要があり、もし不正解だった場合は死刑にされます。召使いと父は止めますがカラフは聞きません。

問題にすべて答えたカラフは嫌がるトゥーランドットを尻目に、私の名を答えられたら君は私を死刑にしても良い。と言いトゥーランドット誰も寝てはならぬと名前を探すよう民衆に命じる。

③カラフと唯一繋がりがあるものとして召使いリューと父親が捕まる。しかしリューは彼の名前を知っているのは私だけだと言いカラフの愛ゆえに自殺する

④リューの姿を見て愛の偉大さに気づいたトゥーランドット彼の名は愛だと叫び幕。

 

このオペラを一言で表すと、一人の少女の無駄死にも虚しく一目惚れした王女のためにめちゃヤバいクイズ大会に出る男の話です。このお話が中国が舞台になっていることは、あまり知られていないようですが、「誰も寝てはならぬ」のアリアはあまりにも有名ですね。

宇野昌磨 2015-16 FS / 2017-18 FS 


Shoma UNO FS - Grand Prix Final 2017
①前奏(4Lo)
舞台は北京。トゥーランドットの謎を解けなかった1人のペルシャ王子の処刑が始まる直前。広場は処刑を待ちわびる民衆で溢れかえっている。


②1幕 父上!私の父上よ!!(4F,3Lo)
王子カラフが父と再会する。息子が死んだと思っていた父、ひそかにカラフに恋心を寄せていた召使いリューも再会に喜んでいる。しかし2人は国を略奪された者に追われている最中であった。


③3幕 誰も寝てはならぬ
(StSq,3A,4T-2T,4T,3A-1Lo-3F)
トゥーランドットの謎を解いたカラフは、結婚を拒絶する彼女に対し『私の名を夜明け前までに言いあてよ、言い当てれば私は夜明けに死ぬ』と言い残す。『北京では今宵誰も寝てはならぬ!』と民衆の声が響き渡る夜、その声を聞きカラフが歌うアリア。勝利を確信しているカラフは、『誰も私の名を知ることはない、しかしあなたの唇だけに告げよう』と高らかに歌う。最後には『私は勝つのだ!』と勝利を宣言する。


④3幕 幕切れ※(3S-3T)
父のティムールと召使いリューはカラフの名前を知る人物として連行される。そこでリューは彼の名を知っているのは私だけだと言い拷問を受けるが最後には自害トゥーランドットに愛の力を証明する。これを期に彼女の心は変化し、カラフを愛するようになった。ここでカラフは自分の名を彼女に告げる。トゥーランドット『彼の名は...愛です!』と告げると群衆は愛の勝利を高らかに賛美、『あなたに栄光あれ!』と合唱し幕。
誰も寝てはならぬ』の終わりは大臣との会話へと自然に続いていくため、この編曲の終わりでは群衆たちの歌う幕切れの合唱が使用されている。


※(3幕の作曲途中、召使いリューが自害したシーンを書き終えプッチーニはスケッチを残し息を引き取ったため、残りの作曲活動はアルファーノによって引き継がれた。従ってここの部分を作曲したのはアルファーノである。)

 

宇野選手は2シーズンこの曲と共に戦ってきましたが、2015年のバージョンの編曲とは少し異なっています。2015年バージョンでは②と③の間に3人の大臣(ピン・パン・ポン)のアリアが挿入されます。2017年バージョンではそこが無くなった代わりに①、②が長くなった印象です。

しかし、「私は勝つのだ!」という歌詞のある曲を使い数々の試合で素晴らしい成績をおさめ続けてきた宇野選手、強すぎる。。。わたしがトゥーランドットなら間違いなく問題解かせる前に結婚します。

本田真凜 2017-18 FS


2017 Cup of China Honda, Marin FS JPN CBC

 ①前奏

②第1幕 父上!私の父上よ!!

③第2幕 ピン・パン・ポンの合唱

カラフの挑戦を受け葬儀の準備と婚約の準備の両方の打ち合わせをする3人の大臣のアリア。こんな野蛮なことはやめ、田舎に帰りたいと願う。

④第3幕 誰も寝てはならぬ(女声ver)

⑤第3幕 幕切れ

 

③以外は宇野選手と同じ、たぶんこの順番の編曲(②の有無は置いておいて)はフィギュアスケート界でトゥーランドットの鉄板なのだと思います。しかし④⑤が女声なところが少し変わっているところですね。通常ではここはテノール歌手が歌う場面です。しかし本田選手の清らかで女性らしいスケートにはこのアレンジもぴったりですね。 

 

3.プッチーニ 「ラ・ボエーム

あらすじ

①お針子ミミとボヘミアンの詩人ロドルフォが出会い恋をする

②2人はクリスマスの街を出歩き先に出ていたロドルフォの仲間と合流。しかし友人マルチェッロと彼の元恋人ムゼッタの間にいざこざが。

③ミミが病気だとわかり、金が無く十分な生活をさせられないロドルフォは愛ゆえの別れを切り出す。

パトロンのもとに世話になっていたミミが最後はロドルフォと共にいたいと言いロドルフォの部屋で死ぬ。

 

このオペラを一言で表すと、愛だけあってもお金なかったら苦しい的な話です。でも音楽は本当にすばらしく、聞くたびうっとりしてしまいます。(ミュージカルRENTの元になったオペラでもある)

ケイトリン・オズモンド 2016-17 FS


Katelyn Osmond. World 2017, FS
①1幕 私の名前はミミ

 お針子のミミが、隣人のボヘミアンの詩人ロドルフォに風で消えてしまったロウソクの点火を願い入れますが今度はロドルフォの火も消えてしまいます。このアリアは、暗闇で手の触れ合った2人が、お互いのことを歌う際のアリアです。ここはミミのターン。「わたしはミミと呼ばれているの、でも本当の名前はルチア。」と歌いだします。


②2幕 わたしが街を歩くと(ムゼッタのワルツ)

ロドルフォの友人マルチェッロの元カノ、ムゼッタがマルチェッロの気を引かせるために歌うアリアです。(実は、ムゼッタとマルチェッロはまだお互いに惹かれあってはいるのですが、お金のためムゼッタはパトロンと付き合っている)自信満々のムゼッタにマルチェッロはついに抑えていたムゼッタへの愛を解き放ちます。


③2幕 ムゼッタがパトロンを連れて歩くシーン

②の前のシーンで「ルル!ルル!」とパトロンを犬のように連れ回し、街を堂々と歩くムゼッタ。そこで元カレ、マルチェッロに再会します。(→②へ)

 

④4幕 ミミの死

ロドルフォがミミの死を目撃した瞬間の旋律。友人に抱え込まれながらひたすら彼女の名前を呼びつづけ幕。

 

この編曲も少し変わっています。ミミとムゼッタ、2人の全く性格の異なった登場人物を一人で演じていますね。また、④がかかった瞬間表情も雰囲気もガラリと変えるところも、さすがです。

この編曲を聞いていると、ムゼッタとミミの友情を表しているようで全く新しい観点でこのオペラを見られるようになります。ムゼッタは美しいけど傲慢で強気。ミミはかわいらしくて、穏やかで病弱な女の子。2人は全く違うけど、とてもいい友人関係を持ってます。ムゼッタの優しさを感じることのできる場面は、まさに④の場面です。ミミのために自分のお金を使ってマフ(貴婦人が使う手を温める小物)を買い、他の友人を部屋から出るように促しロドルフォとミミを2人だけにしてあげる気遣い。なんていい子なんだ…

宮原知子 2016-17 SP


2016 GPF - Satoko Miyahara SP Universal HD

①第2幕 わたしが街を歩くと(ムゼッタのワルツ)

上記参照

 

ここではムゼッタのワルツのみの編曲です。わたしの中では宮原選手は性格的にミミのイメージが強いのですが、ここでムゼッタを演じるところがミソです。

プッチーニの音楽のやさしさをスケートで表現しながらそのスピード感でムゼッタの堂々とした雰囲気、マルチェッロの愛のよろこびを表現できているところが素晴らしいです。こんなムゼッタがアピールしてきたらマルチェッロなんて一撃ですね。

 

4.プッチーニ 「トスカ」

あらすじ

①画家のマリオ・カヴァラドッシは追われているところを逃げてきた友人を教会に匿い警視総監スカルピアに捕まった上、その場所を吐かせようと拷問を受ける。

スカルピアが密かに狙っていたマリオの恋人でオペラ歌手のトスカはマリオの処刑を偽装し、2人の通行書を書かせるという条件でスカルピアの要求を飲む。

③通行書を書かせた後迫ってきたスカルピアを、「これがトスカのキスよ!」と言って手に持ったナイフで殺す。(つよい)

④マリオに密かに会い偽装の件を伝えたトスカは、うまく演技するようマリオに告げる。

⑤しかしスカルピアはトスカの要求を守らず、銃にはしっかりと本物の銃弾が入れられていた。ショックを受けたトスカは、スカルピアを殺した刑で追ってきた兵を尻目に塔の上から飛び降り幕。

 

このオペラを一言で表すと、裏切ろうと思ったら先に裏切られてて恋人を殺された挙げ句自殺してしまった女の話という感じです。なんかとても簡単に書いてしまいましたが、プッチーニの3大傑作にも入る名作オペラです。

デニス・ヴァシリエフス  2016-17 SP / 2017-18 SP


2017 NHK Denis Vasiljev SP ESP

①第1幕 妙なる響き

様々な美しさの中に秘められた調和よ!
私の情熱的な恋人フローリアの髪は栗色だ
そして名も知らぬ美しいあなたは
豊かな金色の髪、
そして青い瞳、
トスカは黒い瞳を持っている!

様々な美しさは
芸術の神秘の中に溶け合っている。
だが、私がこの婦人の肖像を描いている間も、
私のただ一筋の思いは、
トスカよ、ただ一人、君だけに!  (Wikipediaより)

画家のカヴァラドッシが、黒い髪をもつ恋人のトスカと絵に書いている女性を比べ歌うアリア。(歌詞全文を上に)

 

このアリアがフィギュアスケートで使われるのは珍しいですが、私はこのアリアが大好きです。うっとりとするようなテノールの美しい愛のメロディーが、ノーブルな雰囲気のラトデニくんによく合いますね。

村上佳菜子 2015-16 FS


Kanako Murakami - 2016 Japanese Nationals FS

①第3幕 『星はきらめき』

囚われ、トスカに最後の手紙を託そうとするが自らの死と恋人との一生の別れに苦しみ歌われるカヴァラドッシのアリア。テノールのアリアでは鉄板のものですね。

 

②第3幕 処刑のシーン

「マリオ、しっかりと演技するのよ」と見守るトスカの声が聞こえます。

トスカは撃たれたマリオを見て「とっても上手な演技だわ!」(*実際は演技ではなくガチ)といいますが兵士がいなくなったところで彼に近づいてみると、目の前には実弾に撃たれ血を流して死んでいるマリオが。スカルピアに裏切られていたトスカ、ショックを受ける間もなく、スカルピアの追手に追われながら「スカルピア!神の御前で!」と言い残しトスカは飛び降ります。

 

このプログラムでは、主に第3幕の曲が使用されています。

しかしやはり村上選手の感情表現は素晴らしいです。特に②の音楽では、ほどよい緊張感の中にトスカの心情の変化が音楽に乗ってよく表れていると思います。衣装がカヴァラドッシの血で赤く染まる演出も素晴らしい。

このトスカは彼女の現役選手としての最後の演技となりましたが、とても心に深く残る演技でした。これからは彼女のプロスケーターとしての滑りにも注目ですね。

デニス・テン 2015-16 FS


Denis TEN - Winner !!! Winter Universiade 2017, free skating

(↑故郷カザフスタンのアスタナで開催されたユニバーシアードでの声援は、人一倍大きかった)

①第3幕 『星はきらめき』

②第3幕 処刑のシーン(トスカの声なし)

上記参照

 

こちらも同じ編曲です。

処刑されるカヴァラドッシの心情を表現したのだと思いますが、彼の表現力もこれまた素晴らしいです。特に処刑された後の旋律に乗ったステップでの表情、力強い動き、音ハメ、どれをとっても最高です。

 

追記:これほどまでに素晴らしいスケーターを失ってしまった悲しみは一生癒えることはありません。心からご冥福をお祈りします。

エフゲニア・メドベデワ 2018-19 SP


Evgenia MEDVEDEVA .SP -- Russian Nationals 2019

①第3幕 「星は去りぬ」

冒頭、死を惜しむような目の表現、そして3つ目のジャンプを決めた時の天を仰ぐような音ハメがすばらしいですね。

 

②第3幕 終幕(メロディーは同じ)

ここからメロディーは同じにも関わらず曲の雰囲気がガラッと変化します

激情を訴えかけるような音楽に合った力強いステップシークエンスに彼女の真髄を見た気がします。まさかの14位で終えたショートでありましたが、あたたかい地元の観客からの拍手は人一倍大きかった大会でした。

ショートの結果は奮わなかったものの、FSで素晴らしい演技を見せ、復活の7位でロシア選手権を終えます。

 

5.ビゼー 「カルメン

あらすじ

①タバコ工場で揉め事を起こしたジプシーのカルメン、衛兵の伍長ホセによって囚われますが彼を惑わせ脱出。

カルメンを逃した罪で1ヶ月間(その間にカルメン闘牛士エスカミーリョに移り気)拘束されたホセ、居酒屋で再びカルメンと再会しますが兵舎のラッパ音を聞いた途端に帰ろうとするホセを見てカルメン激怒本当にわたしを愛しているのなら一緒に山で密輸団として生きろと迫る。

③密輸団の一員となったホセの元へ幼馴染のミカエラがやって来る。最初は一緒に帰ろうと言われても聞きませんでしたが、母の危篤を知り急いで実家へ帰る。それを見てカルメンの心は完全にホセから離れていく。

エスカミーリョと幸せに暮らすカルメンの元に、ホセがやってくる。復縁を願うホセはカルメンの冷たい態度に怒りを覚え、嫉妬した後彼女を刺し殺して幕。

 

このオペラを一言で表すと、嫉妬深すぎるマザコン男に自由を奪われるジプシー女の話です。ホセの嫉妬深さは天下一です。

本郷理華 2014-15 FS


2014 COR Rika Hongo LP B.ESP2

①鐘の音→第1幕序奏 

②第1幕 『ハバネラ』

タバコ工場で一番人気の女カルメンが登場時に歌うアリア。誰もが知る有名な曲です。

 

③第2幕 『ホラ!カルメン

カルメンがさすらいの暮らしにホセを誘うシーン。自由の素晴らしさが歌われます。

 

④第4幕 ホセの襲来

ホセがよりを戻しに懇願するシーン。カルメン「もうあんたなんか愛していない!」とキッパリハッキリ振られた際に歌われます。

ホセ:だけどカルメン、俺はまだおまえを愛しているんだ

   カルメン!俺はお前に憧れてるんだ!

 

カルメン:それが何だい?無駄な言葉だよ!

 

ホセ:カルメン!俺はお前を愛する!俺はお前を崇拝する!

   そうさ!必要なら俺はお前を喜ばせるために山賊のままでもいい

   なんでもお前の言うとおりにする!

   何でもだ!聞いてるか?何でもだ!

   だが俺を捨てないでくれ!おお、俺のカルメン

   ああ、思い出してくれ!思い出してくれあの頃を!

   俺たちはお互い愛し合ってたじゃないか!

   ああ!俺を捨てないでくれ!カルメン!!

カルメン ActⅣ | オペラ対訳プロジェクトより)

  どうですか?このホセの熱量!引いてしまうほどの執着です。(私は実際めっちゃ引きました)しかし、普通だったホセくんも勇気を出して新しい世界に飛び込んだものですから、普通には戻れなくなってしまったのでしょうかね。気がおかしくなってしまうのもわかる気がします。

 

⑤第4幕 終わり

カルメンを刺殺したホセが「俺を逮捕してくれ!」と言い残し幕。

 

本郷選手のカルメンは、このオペラの素晴らしいところをギュッと凝縮したようなまとまりのよい編曲ですね。全体のストーリーがまんべんなく散らしてありとてもわかり易い構成です。

妖艶な振りと色っぽい目線がまさにカルメン!素晴らしい表現力ですね。また、彼女のダイナミックなジャンプがスペイン風のメロディーによく合います。

 

このシーズンは、このプログラムと共に戦いまたたく間にシンデレラガールとなっていった本郷選手。音楽も彼女に力を与えてくれたのかもしれません。

村上佳菜子 2016-17 SP


Kanako Murakami - 2016 Japanese Nationals SP

①フラメンコの音(音源はわからん)

②第2幕「シストロの鉄線が鳴り、金属の音が響くと」

カルメン、フラスキータ、メルセデスによる愉快な歌です。タンバリンの音と共に早くなっていくテンポに合わせて3人の密輸団仲間の女が居酒屋で踊っている感じの曲です。

 

力強いフラメンコ(足音のみ)の音から始まります。スペインの酒場っぽい雰囲気でドキドキしますね。この音楽に合わせて滑るのはすごく難しそうですが、彼女のメリハリのあるかっこいい動きがとても良くあっています。そして3人の女の合唱へ。本当に踊っているようなステップがとてもステキです!

無良崇人 2014-15 SP


2014 NHK Takahito Mura SP B.ESP2

①第1幕序奏

第1幕はこれから起こる悲劇を予感させる、不穏な旋律から始まります。

 

②第2幕 『闘牛士の歌』

人気の闘牛士エスカミーリョのアリア。堂々としていて男らしいエスカミーリョを見たカルメンは、ホセが投獄中なのにも関わらず心を奪われてしまいます

 

爽やかな編曲。エスカミーリョの視点からのカルメンのようです。ダイナミックで力強いジャンプをするかっこいい無良くんエスカミーリョそのものです。

ガブリエル・デールマン 2017-18 SP


Gabrielle DALEMAN SP - Skate America 2017

①第1幕 『ハバネラ』(「恋は放浪者の子ども」から歌が入る)

ポップスっぽいアレンジのカルメン。セクシーで力強い声が特徴的な歌声です。

 

カルメンの魔性の魅力がプンプン伝わってくるアレンジ曲を使ったプログラム。

それにしてもハバネラの歌詞はどこまでもカルメンです。

恋は放浪者の子ども、規律なんて何のその、あなたが好きじゃないなら、私が好きになる。私が好きになったら、用心することね。

Wikipediaより)

こんなアリア、カルメンにしか歌えませんね。 それを色気づいた目線や振りでモノにしてしまうカナディアン美女デールマン選手、さすがとしか言いようがありません。

アリーナ・ザギトワ 2018-19 FS


2018 GPF Alina Zagitova FS ESP

①(鐘の音)

②第一幕 「ハバネラ」

鋭いジャンプと自信のある目線がまさにカルメン

 

③第一幕 (ハバネラの前)「カルメンシータが見えないが!」

前奏曲(後半)

ここから彼女の一気に表情がガラリと変わります。カルメンは仲間と自由な生活をしている間にカード占いをするのですが、何度繰り返しても結果はどれも「死」と宣告されます。ここの曲の変わり目では、そのカード占いの後の運命を悟ったような表情が印象的ですね。

 

⑤第二幕「ホラ!カルメン

ここからスピードが再びグンと上がっていきます。

カルメン組曲IV Scena

 

ハバネラの部分で勢いに乗りながらもカルメンの表情を忘れず、鋭くジャンプを決める技術は、さすがの金メダリストです。 ザギトワ様になら振り回されたくもなりますね(?)

変わった編曲で2幕の途中で曲は終わってしまうのですが、途中で前奏を挟むことで“予感”を香らせながら終わる演出が面白いです。

マキシム・コフトゥン 2018-19 FS


MAXIM KOVTUN FS - 2019 RUSSIAN NATIONALS, 1st Place | Максим КОВТУН - Чемпион РОССИИ 2019

①(鐘の音:ハバネラ)

②第1幕第10番 フィナーレ:令書だ、出発せい

ホセがカルメンを逃がす数秒間の静けさの中に響き渡る忍び寄るようなハバネラです。

ホセの“普通”の生活が脅かされていったきっかけとなる重要なシーンです。

 

③(鐘の音:ハバネラ)

④第二幕 闘牛士の歌

ここから、衣装の闘牛士の歌が始まります!

ここの闘牛士の歌はスネアドラムが響き渡るマーチのようなリズムが特徴的です。

あなたがた兵士に乾杯しよう、
セニョール、セニョール、なぜなら兵士は
われわれ闘牛士とわかりあえる。
どちらも望んで戦いに赴くのだから。

Wikipediaより)

 

⑤第1幕 ハバネラ

1音1音丁寧に取っていったステップの音ハメが見事です。冒頭の身体をねじるようなセクシーなポーズが印象的。

 

⑥第二幕 闘牛士の歌(スローテンポ)

そして、再び闘牛士の歌です。

闘牛士、気を引き締めろ! 闘牛士闘牛士
そして戦いのなかでも覚えているのだ、
黒い目がおまえを見ていることを、 
そして恋が待っていることを。

Wikipediaより)

この歌詞、いいですね。疲れやすいの後半の心を鼓舞するような歌詞です。

黒い目のコーチではありませんが、黒いアイメイクをしたタラソワ先生は泣きながら彼の演技を解説していたようです。

 

⑦第二幕(第17番)「ホラ!カルメン!」

⑧第一幕(第3番)「おれたちは女子工員たちの帰りを張りにやってきた」

 

こちらも面白い編曲のカルメンです。しかし、なんといってもコフトゥン選手がこのロシア選手権で3年ぶりに優勝したという事実が涙腺を緩ませますね。日本中の黒い目をしたファンがコフトゥン選手を見て涙したことでしょう。(タラソワ先生と一緒に)

編曲は変わっていますが、全体を通して聞くと意外に自然につながって聞こえます。力強い闘牛士が世界選手権でも活躍してくれることに期待ですね! 

 

6.ヴェルディ 「椿姫」

あらすじ

①高級娼婦ヴィオレッタと青年アルフレードが恋に落ちる

②2人はパリを捨て幸せな暮らしをしていたがヴィオレッタはアルフレードの父ジュルモンに交際を止めるよう言われ(アルフレードの妹の結婚にヴィオレッタの娼婦という過去がつきまとうため)別れることもその理由も言わずにアルフレードのもとを去る(別れるという旨は、その後ヴィオレッタからの手紙によって知る)

③再び2人はパリの社交界で出会うが、アルフレードは怒りに身を任せパトロンと共にいたヴィオレッタに金を投げ捨てる

ヴィオレッタは病に倒れ、全てを知ったアルフレードが病床に駆けつけるも遅く、ヴィオレッタは死ぬ。

 

このオペラを一言で表すと、愛するがゆえの犠牲をした娼婦のという感じです。(ヴィオレッタかわいそう)

 

田中刑事 2014-15 FS / 2015-16 FS


Keiji Tanaka 2018 PIW Yokohama

①前奏 (前半)

    ヴィオレッタの悲劇的な死を予感させるような旋律。オペラの演出では、ここでヴィオレッタが登場し物語の先に起こることを予感させるように悲しい面持ちを浮かべていることが多い

 

②第1幕 『乾杯の歌』

    アルフレードが1年前から密かに想っていたヴィオレッタを前にして乾杯の音頭をするアリア。

 

③前奏(後半)

 ここでは2幕の2人の別れのシーンの旋律が使われている。ジュルモンに言われたとおり、ヴィオレッタはアルフレードに別れるという内容の手紙を書いてからパリへ戻ろうとするが、その手紙を書いている間にアルフレードは帰って来てしまう。そこでこの旋律。切ない表情を見せながら、『私を愛してアルフレード、私があなたを愛しているのと同じように』と言って2人の家を去る。(めちゃせつない)

 

④第1幕序奏

 幕が開けたように陽気な旋律でヴィオレッタの家での華やかなパーティがはじまる。

 

田中選手の椿姫は、幕のはじまりを予感させるさわやかな編曲です。この編曲は順番が上下しているようで変わった印象ですが、このオペラの前奏自体に全幕でキーとなる旋律が散りばめられているので、まるで病床の中でヴィオレッタが振り返る思い出の中にいるアルフレードの姿を演じているようにも感じ取れます。

 

7.サン・サーンス「サムソンとデリラ

あらすじ

ヘブライ人たちはガザの広場でペリシテ人に支配され、抑圧されていることを嘆く。その中で同胞たちを鼓舞する存在であったサムソンは、ペリシテ人の美女ダリラから誘惑され、抗いながらも心を奪われてしまう

②デリラは自分の魅力に絶対的な自信があったので、「サムソンなんてイチコロよ☆」とタカを括っていたが、一向に向こうから愛を告げてくれないのでサムソンを憎んでいた。

その時、サムソンがダリラの家に現れ、ためらいながらもデリラに迫られ彼女を愛していることを認めてしまう

そこでデリラは

「愛しているのなら秘密を教えて♡どうしてそんなにあなたは強いの?♡♡」

とサムソンにねちっこく問い、サムソンは拒否するが最後には秘密を打ち明けてしまい、強さの源の髪を切られた挙げ句あっけなくペリシテ人に捕まる。

 

③サムソンは髪を切られ目を潰され挽臼を回す牢獄に入れられる。その後ペリシテ人たちが勝利を祝う寺院にサムソンが連れて行かれ、デリラは自分の計画通りに進んだことを仲間に告げ全員がサムソンをあざ笑う。「くやしかったらお前の信じる神に助けてもらえよ!!!あはは!!!」と挑発されたサムソンは神に最後の懇願をした後その寺院ごと崩壊し、すべてを押しつぶした。(完)

 

このオペラを簡単にまとめると、「敵の人種のめっちゃかわいい子に誘惑されて秘密も話しちゃったけど神様が結局助けてくれてオールオッケー☆(死んだけど)」的な話です。このあらすじだとダリラがただただ怖い女ですが、演出によってはダリラがサムソンのことを本当に好きだったのでは…?という解釈のものもあります。

アシュリー・ワグナー 2013-14 FS 


Ashley Wagner - 2014 World Figure Skating Championships - Free Skating

①バッカナール(オーボエのソロ→主題)

アシュリー選手にしか出せない妖艶な目つきがまさにサムソンを誘惑するダリラのそれです。

 

②第2幕 「あなたの声に私の心は開く」

この歌は簡単に言うとダリラからサムソン向けての「はやく”愛してる”って言えよ!!!」の歌です。サムソンから愛を告げてもらわないと、その先の彼の秘密を聞き出すことができないので彼女は内心焦っているのです。

ああ!応えて私の愛に!

私を陶酔に浸らせて!

サビとなる妖艶な音階では、このフレーズが繰り返されます。しかし、このアリア本当に美しく、聞いているこっちがこの曲に酔ってしまいそうになります。私がサムソンでもこの曲には折れてしまうかも…メゾソプラノの国家と言われる名曲なのも納得ですね。ちなみに、この曲は2回目のサビからサムソンとの2重唱です。美しくとろけるような音楽は絶品です。

 

③バッカナール(主題→激しいヘブライ的旋律の音楽)

テンポとともに滑走スピードも速くなります。最もスピードの上がった時に始まるステップシークエンスの妖艶でエスニックな雰囲気が素晴らしいです。

 

このアシュリー選手のサムソンとダリラは、私が大好きな編曲です。

主にはバッカナールを使用していますが、途中で第2幕の、2人が愛を誓い合う曲を入れてくるところが素晴らしいです。

バッカナールが流れている間というのは、まさにサムソンがダリラ率いるペリシテ人殺されようとしている最中。一度この第2幕の曲を挟むとこで、2人が愛し合っていた時期(デリラが愛していたかは解釈により違いはありますが)を一瞬でも思い出していたかのようで感慨深いです。 

他にも、全てバッカナールで構成されたザギトワ選手のSP(世界ジュニア優勝時)も、曲中の緩急が短いながらにしっかりと表現されており、バンクーバーオリンピックジョアニー・ロシェット選手のFSも、「あなたの声に私の心は響く」から徐々に緩やかなテンポのバッカナール→激しいテンポのバッカナールという移り変わりが素晴らしい編曲です。

 

8.ロッシーニ「セビリヤの理髪師」

あらすじ

①アルマヴィーヴァ伯爵はバルトロ邸のバルコニーに向かってその家に住んでいる娘に愛の言葉を叫ぶ。しかし娘は現れなかったため、何でも屋のフィガロに娘への心を打ち明ける。

バルコニーに出てきたロジーナは同居しているバルトロにばれないように手紙を庭に落とす。それを拾った伯爵はフィガロとともに家の影に隠れる。

手紙には、愛を囁いてくれた男に心から惹かれていること、後見人にバルコニーに出ることが禁止されていることなどが書かれていた。そしてフィガロからは、バルトロがロジーナの資産を狙い今日中に婚約しようとしていることを告げられる。

伯爵は地位を知られぬまま好かれたいと言い「リンドーロ」と名乗りベランダの下から愛の歌を捧げる。その歌を聞いてロジーナはリンドーロと結婚することを決めフィガロに仲介を頼む。そこで伯爵は酔っ払いの軍人のフリをして宿泊証を持ちバルトロ邸に侵入し2人は愛を誓い合う

 

②今度は音楽教師としてバルトロ邸に侵入した伯爵であったが、バルトロに自分が伯爵であるとバレてしまう

そこで教師が帰ったあと、伯爵のことを知らないロジーナに「あいつはアルマヴィーヴァ伯爵にお前を売り飛ばそうとしている」と吹きかけ、悲しんだロジーナはバルトロと結婚することを決めてしまう。

しかしロジーナのベランダに着いた伯爵とフィガロは、彼女がリンドーロを心から愛していることを知り、正体を打ち明ける。伯爵とリンドーロが同一人物であったことを知り、2人はそのまま結婚。めでたしめでたし。

 

大分割愛してしまいましたが、真の愛で邪魔されても結婚を勝ち取った若者の恋愛喜劇です。1つ1つの台詞回しやコミカルな音楽がとっても面白いので、どんな人にもおすすめのオペラです。

山下真瑚 2018-19 SP


Mako YAMASHITA - Skate Canada 2018 - SP

①「今の歌声は」by Filippa Giordano(フィリッパ・ジョルダーノ)

リンドーロ(伯爵)の求愛を受け入れたロジーナが歌う恋のアリア。簡単に言うと「どんな手を使ってもリンドーロと一緒になる!!」という愛に溢れた生き生きとした歌です。

さっきの歌声が私の心に鳴り響いている

あのリンドーロが私の心を撃ち抜いた

そう、リンドーロは私のものよ!

バルトロは拒むだろうけど、知恵を研ぎ澄まして引き下がらせる!

私は勝つと誓ったの!

私は従順でおしとやか

さらに素直で優しくて可愛らしい女の子よ

でももし弱みにつけ込んだなら、毒蛇になって罠をしかけて懲らしめてやるわ!

どうですか、ロジーナちゃん、意外に強気な女の子なんですね。おしとやかとか自分で言っておきながら毒蛇になって罠をしかけて懲らしめてやる!!!とか平然と言えるのめっちゃ怖いですね。

 

しかもこの曲はそのままのオペラ音楽ではないところも特徴的。オペラのアリアをポップスの感覚で歌う歌手の歌声で送るロジーナのアリアです。フレッシュな感覚のオペラ音楽が、若さあふれる山下選手にぴったりです。

このプログラムはなんと言ってもステップ途中で手をパッと開くまこスマイルに、ラストポーズのにこやかなまこスマイルが最高にかわいらしいですね。私がジャッジならGOE500万点あげたいです。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか?

 

ここに書いたのは、ほんの一部のプログラムのみですが、同じオペラでも切り取り方、編曲の仕方で視点が変わっていくことはとてもおもしろいですね。曲によっては、全く別物のように感じられる物もあり興味深いです。全編からまんべんなく様々な旋律を散らしていくのも、一つのアリアで滑るのもどちらにもそれぞれの良さがあります。

 

こんな感じでこの記事を終えたいと思います。

誤りや解釈違いなどあるかもしれませんが、備忘録的な記事なのでお許しを。

 

またオペラを使ったプログラムができたら更新するかもしれません。

 

ではでは。

 

町田樹は打ち上げ花火のようだった

 

プロスケーター、町田樹との別れは突然だった。

いや、私達ファンが突然だと思いたかっただけかもしれない。

 

競技者、町田樹の最後は「第九」

この選曲が発表されたとき、もうすでに私達はどこかで彼の「引退」と向き合わされていたのである。

彼はその曲で「極北」を体現し、その後競技会に姿を見せることはなくなった。

 

プロスケーター、町田樹は今年「ボレロ」を選んだ。

現代バレエの最高傑作という選曲に、あの時と同じ不安を感じずにはいられなかった。

しかしどこかで、向き合わねばならないという事実と対峙する恐怖から、その予感からずっと逃げてきた。

 

彼はその予感と対峙する機会をもう一度くれた。

「これが最後のドキュメンタリー」と称される番組が、テレビ東京で放送された。

 

この発言で、予感が徐々に現実になっていくような気がした。

しかしながら、「新作のアイデアたくさんある」という彼の言葉に甘え、再びその事実から逃げてきたのは私だったのだ。

 

そうして2018年6月15日、彼は"突然の”プロスケーター引退を発表。

 

「プロスケーターを引退する」ということは町田樹を氷上で見る機会を、永遠に失うということに近い。

 

理由は「学業に専念するため」である。なんと彼らしい言葉であろうか。

 

町田樹の嫌いなところだったらたくさん言える、

「こだわりが多すぎる、舌足らず、アイスショーのバックステージで寝る、プログラムがいつ終わるか教えてくれない、プレゼント受け取ってくれない、シャッターチャンスをくれない、意味がわからない言葉を使う、毛量が多い、勝手に引退する」

だけど、こんなにも嫌いなのにそのどれもが愛おしかった。

 

町田樹は打ち上げ花火のようだった」

4年前、どこかで目にしたつぶやきである。

一気にパーンと華やかに打ち上がったと思ったら、その輝きをすこしだけ残しながら、すぐに暗闇へ消えてしまう。

 

こんどもでっかいのを打ち上げたな、と笑ってしまう自分がいた。

28歳という年齢で、あんなプログラムを演じること自体もう長くは続かないことくらいわかっていた。ドキュメンタリーで、再びわからされた。

美しいままに、自分の構想についていける体力を失ったのなら、もしくは、自分の求める最高の作品を作り上げたのなら、引退する。それが彼の美学であり、彼の選んだ道だったのだろうか。

 

彼は、現役時代ティムシェルという言葉を大切にしていた。

 

「ティムシェル」は「してよい」という意味で、これは人間に選択を与える言葉です。ーエデンの東3より

 

彼には多くの選択が与えられていた。

道は開かれていて、すべては彼しだい。

プロスケーターになっても、会社員になっても、コーチになっても研究者になっても留学してもいいし、そのどれもしなくてもよい。

 

しかし、町田樹は自分の進むべき道を選び、そこを戦い抜いた。

エデンの東のリーの言葉を借りれば、人間を人間たらしめる「選択」という人間最高の栄光を存分に使い、自らの道を切り開いていったのだ。

 

彼はずっと人間臭かった。

その人間臭さを持って、ひたすらに努力を積み重ね、大きく振る舞っていた。

その頃の町田樹には、「フィギュアスケート」が全てだった。

 

町田樹マイナスフィギュアスケートニアリーイコールゼロ」

 

こんな言葉を残してまでいた。

 

しかし、今の町田樹には、フィギュアスケートという表現方法で自分の帰属意識を確認すること自体必要なくなったのかもしれない。

 

彼のいるべきこれからの世界を自分の力で、何年もかけて開拓したのだ。

 

研究者町田樹の打ち上げ花火は、どんなにきれいだろう。

いや、それは打ち上げ花火ではなく、永遠の星の輝きかもしれない。

 

私達はその輝きをひっそりと観測し、その光がこの先、彼のいた場所に再び降り注ぐことを夢見ている。

ミラノ万博備忘録8 -カザフスタン館-

 

こんにちは。

 

今回は、私が日本館の次に感動したパビリオンであるカザフスタンについて書いていきたいと思います。

 

しかし、カザフスタンのイメージ、日本はあまり明確には持っていない人が多いのではないでしょうか?(スケオタは某殿下の影響でよく知っていると思いますが)カザフスタンは元ソ連の国で、鉱物資源大国なので金銭面ではめちゃくちゃ潤ってます。万博を効率よく回る方法の個人的鉄則に、「鉱物資源大国をまず初めに巡る」という項目があるぐらい鉱物資源を持ってるか持ってないかは万博を楽しむ上で重要です。

 

そういうわけでたくさんお金をかけられたカザフスタン館は日本館同様、超人気パビリオンなのでこのように長蛇の列です(ヒェ〜)

 

しかし私はカザフスタン館とは真剣に向き合うことを決めたので、早朝ダッシュという姑息な手は使わないことを誓いました

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ギンギラギンにさりげないカザフスタン

カザフスタン館の良いところは並んでいる時もエンターテイメントを見せてくれるところです。3時間くらいは待ちましたが、ダンサーや歌手の演奏が続き、飽きることなく待つことができました!待ち時間まで手厚いサービス!さすが資源大国ですね!!

 

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おじさまの美声とお姉さまの芸術的なダンスに待ち時間の退屈さを忘れる

そしてあと10分ほど、ドキドキです。

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スタッフさんたちの制服かわいい

待ちに待ったカザフスタンパビリオン、案内されたのでレッツゴーです!!

 

まず最初は、ライブでサンドアートを書いてくれるコーナー。(手が隠れているので本当にライブで書いているかは怪しいですが、)その完成度の高さに感動!しかもこのサンドアート、音声放送される物語と連動して変化するのです。

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[左]このおじさんが誰だったかは忘れた[右]アスタナ万博の宣伝
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アスタナ万博、みんな来てねっ!

なるほど、2017年のテーマ博がカザフスタンのアスタナで開かれるようですね。その宣伝も兼ねてこの素晴らしいパビリオンがあるわけです。(アスタナ万博は国際博ではなくテーマ博なので私は行きませんでした[ホントは行きたかった])

 

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横の絵、動いてる…?

サンドアートが終わったらエスカレーターで二階へ移動します。しかしカザフスタン、ここでもエンターテインメントの心を忘れません。なんとこのエスカレーターの両側の写真、一見ただの静止画ですが突然動画のように動き出します!ナチュラルに動くから本気でビックリした。

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セカンドフロアの第一関門、馬乳

 二階に行くといろいろな展示が待っていました。まず、きれいなお姉さんに馬乳を飲むことを進められます。馬乳はカザフスタンでは日常的に飲まれるもので、とても健康にいいとか。(カルピスの起源とも言われる)スルーしてる人が多くてなんかお姉さんが可愛そうだったので私は自ら志願して馬乳を飲みに行きました

「す、、スッッパっ、、!!」

牛乳と同じテンションで飲んだら全然違いました、マジで酸っぱかったです。

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[左]ウマの写真めっちゃ撮ってた[右]りんごの樹

カザフスタンではりんごもよく穫れるようですね。りんごの樹も展示してありました。なんだかかわいい。りんごの木から吊るされているものは、りんごではなくiPadです。これでカザフスタンのりんご農園を360度見渡せるようになっています。

 

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SAME

あとチョウザメも有名らしいです。いっぱいおよいでました。(たべたい)

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ど、ドローン!

さらにこちらはドローンを使った農業の様子ですかね?ハイテクも強いカザフスタン、恐るべし。

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暗闇に現れるアスタナの街

さて、ここからがカザフスタン館の一番の見せ場、4Dシアターです!ここは写真が撮れなかったのですが、一言で言うとめちゃくちゃ楽しかったです。内容はアスタナ万博の宣伝の様なものなのですが、イスはめちゃくちゃ動くし3Dメガネかけなくてもすごい立体的だったしでもう最高でした!!!これみたらみんなカザフスタン大好きになります。(元から好きだったけど)ディズニーのシアター系アトラクションよりすごかったです!

 

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売店&カフェの天井

4Dシアターが終わると売店・カフェを通りこのパビリオンは終了です。いや〜〜めちゃくちゃ楽しかった!!カザフスタン、すごい!!!と思いながら階段を下り、なにかに貢ぎたくなったのですが、売店だけなぜかすごいショボかったです(フェルトでできたりんごが3,4個売ってるだけだった)

 

また売店のすぐ横にはアスタナ万博の会場模型が。前にいた綺麗なお姉さんがパンフレットをいっぱい配ってたのでもらって帰りました。

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お姉さんがくれたアスタナのパンフレット

アスタナ万博に行けなかったのは残念ですが、この展示に行けて本当によかったです!記憶に強く残る素晴らしいパビリオンでした。

 

ミラノ万博備忘録7 -イタリア館-

 

こんにちは。

 

今回はイタリア館について書いていきたいと思います。

 

イタリア館はなんといっても開催国のパビリオンなだけあって、この万博の1番の目玉ですね!あとで取り壊すことが決まっている他のパビリオンとは違い、しっかりとした作りが特徴です。

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かっこいい〜〜〜〜!

イタリア館はホームなだけあってやはり人気パビリオン、3時間ほどは待ちました。

やっと日陰に入れた〜!と思っても、そこからがイタリア館の勝負の始まりです。列がなかなか進まずぐったり。

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[左]待って時に撮った生命の樹[右]内側から見たイタリア館

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男のロマン


そしてやっと中へ案内!このパビリオンは集団で行動するのですが、なんと説明は

イタリア語か中国語のみ。え、、英語は????たしかに前回が上海万博だったこともあり中国人の来場者は多くいましたが、英語は欲しかった…!

しかし、しかたなくイタリア語の方に付いていくとイタリア語で説明した後スタッフさんがこちらを見て英語でも短く説明してくれました。ありがたい。

といっても説明のいる展示(全然写真撮ってなかった)は少しで、そこからは自由です。
 

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ピープル・イン・ギャラクシー(適当)

暗いところに入ると、いきなり人が銀河に放り出されるアート。これが何を表しているのかよくわかりませんが、なんかかっこいい!

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絶対にスカートで来てはいけないパビリオン、イタリア館

そしてお次は鏡張りの部屋です。スクリーン以外360度鏡張りなのでスカートで来ると終わります。私は幸いパンツでしたが、そこも含めてイタリアらしいですね!!!このようなお部屋が6つほど続くのですが、鏡だらけでどこが本当の進路なのかわからずウロチョロしていたら壁に激突してしまいました。でもこの展示、普通にきれいだったので許します。

 

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休憩コーナーの壁

ここで休憩コーナー、「俺たちのおかげで世界は成り立ってるんだぜ☆」的な展示がありました。しかしなぜか壁しか写真を撮っていなかったです。

 

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タイルめちゃかわいい

お次は植物の展示です。やっとテーマっぽい展示になりましたね。造花でなく本物の植物が展示されていて、プチ植物園のようでした。床のタイルがとてもステキじゃ。

 

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でかい

最後は映画館風のところに入り、なにか見たような気がするのですがちょっと忘れてしまいました。上の写真はその後のイタリア観光紹介コーナー的なところで撮ったものです。

 

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[左]出たらあった像[右]きれいに撮れた樹

 

こんな雰囲気でイタリア館は終わりです。この後は、イタリア館専用のショップがあり、さまざまなイタリア館グッズを手に入れることができます。

 

しかしイタリア館、自分でテーマを「食」にしておいて一番それっぽい展示が少なかった(…様な)

そんな気まぐれなところも、イタリアらしいですね!!!

 

◯おまけ:イタリア館のちかくでお昼

イタリア館の近くのお店でお昼ご飯を食べました。

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[左]おしゃれ[右]ボーノである

頼んで集めていく式だったので、注文には少し苦労しましたが、美味しかったです!

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無料の充電コーナー

◯おまけ2:ワイン館

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[左]天井[右]オブジェ

イタリア館の近くにあったワイン館の展示です。1500種類以上のワインを楽しめます。(私は飲んでない)ワイン好きにはたまらないパビリオンですね!