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フィギュアスケートの編曲やオペラについて雑多に書くブログ

フィギュアスケートにおけるオペラ編曲まとめ

 

こんにちは。

 

オペラの楽曲を使用したフィギュアスケート作品は、これまでに多くのスケーターによって演じられてきました。歌詞入りの曲が解禁してからはオペラ歌手の力強い歌声の入った音源も使用され始め、フィギュアスケートでもますますオペラの魅力を深く感じることができるようになりました。

 

というわけでこの記事では、それらのプログラムをまとめていきたいと思います。(めちゃくちゃ長いのでさらっと読んでくださると幸いです)

※2018−19シーズンのプログラムとサムソンとデリラを使用したプログラムをいくつか追記しました!(2018−12−30)

 

 

 1.プッチーニ 「蝶々夫人

あらすじ

①長崎にやってきた海軍士官ピンカートンは長崎で15歳の芸者、蝶々夫人と結婚する。(当時アメリカ人将校の間で、現地の女性と結婚して滞在期間だけ遊び、本国に帰還することが流行っていた)

 ②幸せだった時間もわずか、ピンカートンは「コマドリが巣を作る頃に日本に戻る」と言い、本国へ帰る。

蝶々夫人は周囲の批判も受けながらピンカートンとの1人息子を育て、3年間彼の帰りを待ち続ける。

④蝶々さんの寝ている間にやってきたピンカートンは下女のスズキに自分がアメリカで結婚したこと、子供を引き取りに来たことなどすべてを彼女に話すように言う。(極悪人)

⑤すべてを聞いた蝶々夫人は子供を引き渡し1人自害する

 

一言で言うと、ピンカートンが最悪な話です。初演でも大ブーイングだったとか。しかし、一言では言い表せないような蝶々さんの美しさ、強さにこそこのオペラの魅力はあります。

この蝶々夫人を滑ることは日本人選手のある種の特権ですよね。蝶々夫人を彩る名曲の数々は、どこを切り取っても素晴らしいです。

 

宮原知子 2017-18 FS


Satoko Miyahara - 2017 Japanese Nationals FS
①第三幕の序奏(3Lo)
3年間待ち続けたピンカートンの白い船が港に来たことを見つけ、夜中襖に穴を開けて帰りを待ちわびている場面の終わり、もう朝になったころ。下女と子どもが眠る中、蝶々さんは寝ずに待ち続ける


②第二幕 ある晴れた日に(3Lz-3T,3F)
ある晴れた日に、ピンカートンが帰ってくることを信じて歌うアリア。周りの人すべてがそんな訳がないと言っても私は信じるという強い意志を示す。


③第二幕 ヤマドリの来訪(StSq)
ヤマドリという富豪が蝶々さんに求婚する場面。しかし蝶々さんは主人を待つという強い意志を持ち求婚を拒む。この場面の旋律が明るくアップテンポなのは、ヤマドリが来る前に領事シャープレスがピンカートンから内容は伝えずに手紙を貰った旨を蝶々さんに伝えたため。(しかし、その手紙はピンカートンがアメリカで結婚したことを伝えるもので、本人の代わりに蝶々さんに伝えて欲しいとの内容であった。)


④第三幕 さらば愛の巣(3Lz-2T-2Lo,2A-3T)
蝶々さんの寝ている間に帰ってきたピンカートンが、後悔の末に歌うアリア。『君が絶望する姿に耐えられない、僕は卑怯者だ!』と言い残し、真実を伝える義務を放り出す。


⑤第三幕 さよなら坊や(3S,2A)
すべてを悟った後、『名誉に生きられぬ者は 名誉に死ぬべし』と言い残し自害を図ると、そこにピンカートンとの一人息子が現れる。そこで、このアリアを最後に歌い自害。母を忘れないようにという旨を伝える。家に駆け付けたピンカートンが『バタフライ!!』と叫びオペラの終演。


⑥ある晴れた日に(ピアノver)
蝶々さんの魂が昇華したようなスピンで演技終了。『ある晴れた日に』の旋律はピンカートンの白い船がやってくるのを蝶々さんが見た場面でも用いられており、試合の度①に再び繋がっていくのではないかという見解も示す。

 

ピンカートンにムカつきすぎてムカつきポイントをめちゃデカイ赤字にしてしまいましたが、だいたいこんな雰囲気の編曲です。

宮原さんの編曲では、蝶々さんの悲劇の人生そのものを表現しているように感じられます。また、彼女だけでなく彼女を取り巻く様々な登場人物像も浮き彫りにさせ物語全体のキーポイントをまんべんなくちらしたとてもバランスの良い編曲です。

順番が上下しているのも、①の場面で②や③のことを思い出しながら帰りを待っているのだろうか、などと想像が膨らみます。ちなみに、③の軽快なヤマドリの来訪の場面の曲、実は原曲は日本の軍歌「宮さん宮さん」です。プッチーニは日本人女性を通じてさまざまな日本の曲を聞いていたそう。(「さくら」なども使われてます)

 

浅田真央 2015-16 FS


Mao ASADA - 2016 World Championships - LP (CBC)
①第1幕 「可愛がってくださいね」

 この曲は、ピンカートンと蝶々夫人によって歌われるものです。日が落ち、夜になっていくころ。アメリカでは、蝶をつかまえて針で閉じ込めてしまうそうですね!』と不安を装う蝶々さんにピンカートンは優しい言葉を投げかけます。しかし、その歌詞はその後の彼女の運命を暗示するものでした。


②第2幕 ある晴れた日に

 上記参照

 

浅田選手の編曲は、蝶々さんの日本人女性としての強さを感じられるものです。また、彼女の人生そのものではなく、彼女の深い胸の内をさらけ出したような編曲です。

わたしがこのプログラムで大好きなのは、彼女の冒頭の表情です。彼女の切ない表情は、愛の合唱を二人で歌っていた頃の幸せを思い出しながら、海の向こうからの帰りを待ち続けている蝶々夫人そのものでした。ある晴れた日にが後半になるにつれ彼女のさまざまな想いが溢れる振り付けと表情も絶品です。

 

山下真瑚 2018-19 FS


2018 SC Mako Yamashita FS ESP

①第2幕 「ある晴れた日に」

上記参照

 

山下選手の編曲は、フリースケーティングにも関わらず「ある晴れた日に」のみで構成されているところがポイントです。しかし、ずっと同じ音源のものを流しているわけではありません。前半は透明感のある女性ヴォーカルの歌声のもの、後半にはオーケストラによるヴォーカルなしの演奏が取り入れられています。

2度同じ曲を1つのプログラムに盛り込む挑戦的な編曲ながら、改めてこの曲のもつ力強さであったり、日本女性の奥ゆかしさを感じることができます。特に前半の音源は、清らかで神秘的な雰囲気が山下選手のスケーティングにぴったりです。

 

2.プッチーニ 「トゥーランドット

あらすじ

①王子カラフは冷徹の王女トゥーランドットに一目で恋をします。しかし彼女と結婚するには難問を三問正解する必要があり、もし不正解だった場合は死刑にされます。召使いと父は止めますがカラフは聞きません。

問題にすべて答えたカラフは嫌がるトゥーランドットを尻目に、私の名を答えられたら君は私を死刑にしても良い。と言いトゥーランドット誰も寝てはならぬと名前を探すよう民衆に命じる。

③カラフと唯一繋がりがあるものとして召使いリューと父親が捕まる。しかしリューは彼の名前を知っているのは私だけだと言いカラフの愛ゆえに自殺する

④リューの姿を見て愛の偉大さに気づいたトゥーランドット彼の名は愛だと叫び幕。

 

このオペラを一言で表すと、一人の少女の無駄死にも虚しく一目惚れした王女のためにめちゃヤバいクイズ大会に出る男の話です。このお話が中国が舞台になっていることは、あまり知られていないようですが、「誰も寝てはならぬ」のアリアはあまりにも有名ですね。

宇野昌磨 2015-16 FS / 2017-18 FS 


Shoma UNO FS - Grand Prix Final 2017
①前奏(4Lo)
舞台は北京。トゥーランドットの謎を解けなかった1人のペルシャ王子の処刑が始まる直前。広場は処刑を待ちわびる民衆で溢れかえっている。


②1幕 父上!私の父上よ!!(4F,3Lo)
王子カラフが父と再会する。息子が死んだと思っていた父、ひそかにカラフに恋心を寄せていた召使いリューも再会に喜んでいる。しかし2人は国を略奪された者に追われている最中であった。


③3幕 誰も寝てはならぬ
(StSq,3A,4T-2T,4T,3A-1Lo-3F)
トゥーランドットの謎を解いたカラフは、結婚を拒絶する彼女に対し『私の名を夜明け前までに言いあてよ、言い当てれば私は夜明けに死ぬ』と言い残す。『北京では今宵誰も寝てはならぬ!』と民衆の声が響き渡る夜、その声を聞きカラフが歌うアリア。勝利を確信しているカラフは、『誰も私の名を知ることはない、しかしあなたの唇だけに告げよう』と高らかに歌う。最後には『私は勝つのだ!』と勝利を宣言する。


④3幕 幕切れ※(3S-3T)
父のティムールと召使いリューはカラフの名前を知る人物として連行される。そこでリューは彼の名を知っているのは私だけだと言い拷問を受けるが最後には自害トゥーランドットに愛の力を証明する。これを期に彼女の心は変化し、カラフを愛するようになった。ここでカラフは自分の名を彼女に告げる。トゥーランドット『彼の名は...愛です!』と告げると群衆は愛の勝利を高らかに賛美、『あなたに栄光あれ!』と合唱し幕。
誰も寝てはならぬ』の終わりは大臣との会話へと自然に続いていくため、この編曲の終わりでは群衆たちの歌う幕切れの合唱が使用されている。


※(3幕の作曲途中、召使いリューが自害したシーンを書き終えプッチーニはスケッチを残し息を引き取ったため、残りの作曲活動はアルファーノによって引き継がれた。従ってここの部分を作曲したのはアルファーノである。)

 

宇野選手は2シーズンこの曲と共に戦ってきましたが、2015年のバージョンの編曲とは少し異なっています。2015年バージョンでは②と③の間に3人の大臣(ピン・パン・ポン)のアリアが挿入されます。2017年バージョンではそこが無くなった代わりに①、②が長くなった印象です。

しかし、「私は勝つのだ!」という歌詞のある曲を使い数々の試合で素晴らしい成績をおさめ続けてきた宇野選手、強すぎる。。。わたしがトゥーランドットなら間違いなく問題解かせる前に結婚します。

本田真凜 2017-18 FS


2017 Cup of China Honda, Marin FS JPN CBC

 ①前奏

②第1幕 父上!私の父上よ!!

③第2幕 ピン・パン・ポンの合唱

カラフの挑戦を受け葬儀の準備と婚約の準備の両方の打ち合わせをする3人の大臣のアリア。こんな野蛮なことはやめ、田舎に帰りたいと願う。

④第3幕 誰も寝てはならぬ(女声ver)

⑤第3幕 幕切れ

 

③以外は宇野選手と同じ、たぶんこの順番の編曲(②の有無は置いておいて)はフィギュアスケート界でトゥーランドットの鉄板なのだと思います。しかし④⑤が女声なところが少し変わっているところですね。通常ではここはテノール歌手が歌う場面です。しかし本田選手の清らかで女性らしいスケートにはこのアレンジもぴったりですね。 

 

3.プッチーニ 「ラ・ボエーム

あらすじ

①お針子ミミとボヘミアンの詩人ロドルフォが出会い恋をする

②2人はクリスマスの街を出歩き先に出ていたロドルフォの仲間と合流。しかし友人マルチェッロと彼の元恋人ムゼッタの間にいざこざが。

③ミミが病気だとわかり、金が無く十分な生活をさせられないロドルフォは愛ゆえの別れを切り出す。

パトロンのもとに世話になっていたミミが最後はロドルフォと共にいたいと言いロドルフォの部屋で死ぬ。

 

このオペラを一言で表すと、愛だけあってもお金なかったら苦しい的な話です。でも音楽は本当にすばらしく、聞くたびうっとりしてしまいます。(ミュージカルRENTの元になったオペラでもある)

ケイトリン・オズモンド 2016-17 FS


Katelyn Osmond. World 2017, FS
①1幕 私の名前はミミ

 お針子のミミが、隣人のボヘミアンの詩人ロドルフォに風で消えてしまったロウソクの点火を願い入れますが今度はロドルフォの火も消えてしまいます。このアリアは、暗闇で手の触れ合った2人が、お互いのことを歌う際のアリアです。ここはミミのターン。「わたしはミミと呼ばれているの、でも本当の名前はルチア。」と歌いだします。


②2幕 わたしが街を歩くと(ムゼッタのワルツ)

ロドルフォの友人マルチェッロの元カノ、ムゼッタがマルチェッロの気を引かせるために歌うアリアです。(実は、ムゼッタとマルチェッロはまだお互いに惹かれあってはいるのですが、お金のためムゼッタはパトロンと付き合っている)自信満々のムゼッタにマルチェッロはついに抑えていたムゼッタへの愛を解き放ちます。


③2幕 ムゼッタがパトロンを連れて歩くシーン

②の前のシーンで「ルル!ルル!」とパトロンを犬のように連れ回し、街を堂々と歩くムゼッタ。そこで元カレ、マルチェッロに再会します。(→②へ)

 

④4幕 ミミの死

ロドルフォがミミの死を目撃した瞬間の旋律。友人に抱え込まれながらひたすら彼女の名前を呼びつづけ幕。

 

この編曲も少し変わっています。ミミとムゼッタ、2人の全く性格の異なった登場人物を一人で演じていますね。また、④がかかった瞬間表情も雰囲気もガラリと変えるところも、さすがです。

この編曲を聞いていると、ムゼッタとミミの友情を表しているようで全く新しい観点でこのオペラを見られるようになります。ムゼッタは美しいけど傲慢で強気。ミミはかわいらしくて、穏やかで病弱な女の子。2人は全く違うけど、とてもいい友人関係を持ってます。ムゼッタの優しさを感じることのできる場面は、まさに④の場面です。ミミのために自分のお金を使ってマフ(貴婦人が使う手を温める小物)を買い、他の友人を部屋から出るように促しロドルフォとミミを2人だけにしてあげる気遣い。なんていい子なんだ…

宮原知子 2016-17 SP


2016 GPF - Satoko Miyahara SP Universal HD

①第2幕 わたしが街を歩くと(ムゼッタのワルツ)

上記参照

 

ここではムゼッタのワルツのみの編曲です。わたしの中では宮原選手は性格的にミミのイメージが強いのですが、ここでムゼッタを演じるところがミソです。

プッチーニの音楽のやさしさをスケートで表現しながらそのスピード感でムゼッタの堂々とした雰囲気、マルチェッロの愛のよろこびを表現できているところが素晴らしいです。こんなムゼッタがアピールしてきたらマルチェッロなんて一撃ですね。

 

4.プッチーニ 「トスカ」

あらすじ

①画家のマリオ・カヴァラドッシは追われているところを逃げてきた友人を教会に匿い警視総監スカルピアに捕まった上、その場所を吐かせようと拷問を受ける。

スカルピアが密かに狙っていたマリオの恋人でオペラ歌手のトスカはマリオの処刑を偽装し、2人の通行書を書かせるという条件でスカルピアの要求を飲む。

③通行書を書かせた後迫ってきたスカルピアを、「これがトスカのキスよ!」と言って手に持ったナイフで殺す。(つよい)

④マリオに密かに会い偽装の件を伝えたトスカは、うまく演技するようマリオに告げる。

⑤しかしスカルピアはトスカの要求を守らず、銃にはしっかりと本物の銃弾が入れられていた。ショックを受けたトスカは、スカルピアを殺した刑で追ってきた兵を尻目に塔の上から飛び降り幕。

 

このオペラを一言で表すと、裏切ろうと思ったら先に裏切られてて恋人を殺された挙げ句自殺してしまった女の話という感じです。なんかとても簡単に書いてしまいましたが、プッチーニの3大傑作にも入る名作オペラです。

デニス・ヴァシリエフス  2016-17 SP / 2017-18 SP


2017 NHK Denis Vasiljev SP ESP

①第1幕 妙なる響き

様々な美しさの中に秘められた調和よ!
私の情熱的な恋人フローリアの髪は栗色だ
そして名も知らぬ美しいあなたは
豊かな金色の髪、
そして青い瞳、
トスカは黒い瞳を持っている!

様々な美しさは
芸術の神秘の中に溶け合っている。
だが、私がこの婦人の肖像を描いている間も、
私のただ一筋の思いは、
トスカよ、ただ一人、君だけに!  (Wikipediaより)

画家のカヴァラドッシが、黒い髪をもつ恋人のトスカと絵に書いている女性を比べ歌うアリア。(歌詞全文を上に)

 

このアリアがフィギュアスケートで使われるのは珍しいですが、私はこのアリアが大好きです。うっとりとするようなテノールの美しい愛のメロディーが、ノーブルな雰囲気のラトデニくんによく合いますね。

村上佳菜子 2015-16 FS


Kanako Murakami - 2016 Japanese Nationals FS

①第3幕 『星はきらめき』

囚われ、トスカに最後の手紙を託そうとするが自らの死と恋人との一生の別れに苦しみ歌われるカヴァラドッシのアリア。テノールのアリアでは鉄板のものですね。

 

②第3幕 処刑のシーン

「マリオ、しっかりと演技するのよ」と見守るトスカの声が聞こえます。

トスカは撃たれたマリオを見て「とっても上手な演技だわ!」(*実際は演技ではなくガチ)といいますが兵士がいなくなったところで彼に近づいてみると、目の前には実弾に撃たれ血を流して死んでいるマリオが。スカルピアに裏切られていたトスカ、ショックを受ける間もなく、スカルピアの追手に追われながら「スカルピア!神の御前で!」と言い残しトスカは飛び降ります。

 

このプログラムでは、主に第3幕の曲が使用されています。

しかしやはり村上選手の感情表現は素晴らしいです。特に②の音楽では、ほどよい緊張感の中にトスカの心情の変化が音楽に乗ってよく表れていると思います。衣装がカヴァラドッシの血で赤く染まる演出も素晴らしい。

このトスカは彼女の現役選手としての最後の演技となりましたが、とても心に深く残る演技でした。これからは彼女のプロスケーターとしての滑りにも注目ですね。

デニス・テン 2015-16 FS


Denis TEN - Winner !!! Winter Universiade 2017, free skating

(↑故郷カザフスタンのアスタナで開催されたユニバーシアードでの声援は、人一倍大きかった)

①第3幕 『星はきらめき』

②第3幕 処刑のシーン(トスカの声なし)

上記参照

 

こちらも同じ編曲です。

処刑されるカヴァラドッシの心情を表現したのだと思いますが、彼の表現力もこれまた素晴らしいです。特に処刑された後の旋律に乗ったステップでの表情、力強い動き、音ハメ、どれをとっても最高です。

 

追記:これほどまでに素晴らしいスケーターを失ってしまった悲しみは一生癒えることはありません。心からご冥福をお祈りします。

エフゲニア・メドベデワ 2018-19 SP


Evgenia MEDVEDEVA .SP -- Russian Nationals 2019

①第3幕 「星は去りぬ」

冒頭、死を惜しむような目の表現、そして3つ目のジャンプを決めた時の天を仰ぐような音ハメがすばらしいですね。

 

②第3幕 終幕(メロディーは同じ)

ここからメロディーは同じにも関わらず曲の雰囲気がガラッと変化します

激情を訴えかけるような音楽に合った力強いステップシークエンスに彼女の真髄を見た気がします。まさかの14位で終えたショートでありましたが、あたたかい地元の観客からの拍手は人一倍大きかった大会でした。

ショートの結果は奮わなかったものの、FSで素晴らしい演技を見せ、復活の7位でロシア選手権を終えます。

 

5.ビゼー 「カルメン

あらすじ

①タバコ工場で揉め事を起こしたジプシーのカルメン、衛兵の伍長ホセによって囚われますが彼を惑わせ脱出。

カルメンを逃した罪で1ヶ月間(その間にカルメン闘牛士エスカミーリョに移り気)拘束されたホセ、居酒屋で再びカルメンと再会しますが兵舎のラッパ音を聞いた途端に帰ろうとするホセを見てカルメン激怒本当にわたしを愛しているのなら一緒に山で密輸団として生きろと迫る。

③密輸団の一員となったホセの元へ幼馴染のミカエラがやって来る。最初は一緒に帰ろうと言われても聞きませんでしたが、母の危篤を知り急いで実家へ帰る。それを見てカルメンの心は完全にホセから離れていく。

エスカミーリョと幸せに暮らすカルメンの元に、ホセがやってくる。復縁を願うホセはカルメンの冷たい態度に怒りを覚え、嫉妬した後彼女を刺し殺して幕。

 

このオペラを一言で表すと、嫉妬深すぎるマザコン男に自由を奪われるジプシー女の話です。ホセの嫉妬深さは天下一です。

本郷理華 2014-15 FS


2014 COR Rika Hongo LP B.ESP2

①鐘の音→第1幕序奏 

②第1幕 『ハバネラ』

タバコ工場で一番人気の女カルメンが登場時に歌うアリア。誰もが知る有名な曲です。

 

③第2幕 『ホラ!カルメン

カルメンがさすらいの暮らしにホセを誘うシーン。自由の素晴らしさが歌われます。

 

④第4幕 ホセの襲来

ホセがよりを戻しに懇願するシーン。カルメン「もうあんたなんか愛していない!」とキッパリハッキリ振られた際に歌われます。

ホセ:だけどカルメン、俺はまだおまえを愛しているんだ

   カルメン!俺はお前に憧れてるんだ!

 

カルメン:それが何だい?無駄な言葉だよ!

 

ホセ:カルメン!俺はお前を愛する!俺はお前を崇拝する!

   そうさ!必要なら俺はお前を喜ばせるために山賊のままでもいい

   なんでもお前の言うとおりにする!

   何でもだ!聞いてるか?何でもだ!

   だが俺を捨てないでくれ!おお、俺のカルメン

   ああ、思い出してくれ!思い出してくれあの頃を!

   俺たちはお互い愛し合ってたじゃないか!

   ああ!俺を捨てないでくれ!カルメン!!

カルメン ActⅣ | オペラ対訳プロジェクトより)

  どうですか?このホセの熱量!引いてしまうほどの執着です。(私は実際めっちゃ引きました)しかし、普通だったホセくんも勇気を出して新しい世界に飛び込んだものですから、普通には戻れなくなってしまったのでしょうかね。気がおかしくなってしまうのもわかる気がします。

 

⑤第4幕 終わり

カルメンを刺殺したホセが「俺を逮捕してくれ!」と言い残し幕。

 

本郷選手のカルメンは、このオペラの素晴らしいところをギュッと凝縮したようなまとまりのよい編曲ですね。全体のストーリーがまんべんなく散らしてありとてもわかり易い構成です。

妖艶な振りと色っぽい目線がまさにカルメン!素晴らしい表現力ですね。また、彼女のダイナミックなジャンプがスペイン風のメロディーによく合います。

 

このシーズンは、このプログラムと共に戦いまたたく間にシンデレラガールとなっていった本郷選手。音楽も彼女に力を与えてくれたのかもしれません。

村上佳菜子 2016-17 SP


Kanako Murakami - 2016 Japanese Nationals SP

①フラメンコの音(音源はわからん)

②第2幕「シストロの鉄線が鳴り、金属の音が響くと」

カルメン、フラスキータ、メルセデスによる愉快な歌です。タンバリンの音と共に早くなっていくテンポに合わせて3人の密輸団仲間の女が居酒屋で踊っている感じの曲です。

 

力強いフラメンコ(足音のみ)の音から始まります。スペインの酒場っぽい雰囲気でドキドキしますね。この音楽に合わせて滑るのはすごく難しそうですが、彼女のメリハリのあるかっこいい動きがとても良くあっています。そして3人の女の合唱へ。本当に踊っているようなステップがとてもステキです!

無良崇人 2014-15 SP


2014 NHK Takahito Mura SP B.ESP2

①第1幕序奏

第1幕はこれから起こる悲劇を予感させる、不穏な旋律から始まります。

 

②第2幕 『闘牛士の歌』

人気の闘牛士エスカミーリョのアリア。堂々としていて男らしいエスカミーリョを見たカルメンは、ホセが投獄中なのにも関わらず心を奪われてしまいます

 

爽やかな編曲。エスカミーリョの視点からのカルメンのようです。ダイナミックで力強いジャンプをするかっこいい無良くんエスカミーリョそのものです。

ガブリエル・デールマン 2017-18 SP


Gabrielle DALEMAN SP - Skate America 2017

①第1幕 『ハバネラ』(「恋は放浪者の子ども」から歌が入る)

ポップスっぽいアレンジのカルメン。セクシーで力強い声が特徴的な歌声です。

 

カルメンの魔性の魅力がプンプン伝わってくるアレンジ曲を使ったプログラム。

それにしてもハバネラの歌詞はどこまでもカルメンです。

恋は放浪者の子ども、規律なんて何のその、あなたが好きじゃないなら、私が好きになる。私が好きになったら、用心することね。

Wikipediaより)

こんなアリア、カルメンにしか歌えませんね。 それを色気づいた目線や振りでモノにしてしまうカナディアン美女デールマン選手、さすがとしか言いようがありません。

アリーナ・ザギトワ 2018-19 FS


2018 GPF Alina Zagitova FS ESP

①(鐘の音)

②第一幕 「ハバネラ」

鋭いジャンプと自信のある目線がまさにカルメン

 

③第一幕 (ハバネラの前)「カルメンシータが見えないが!」

前奏曲(後半)

ここから彼女の一気に表情がガラリと変わります。カルメンは仲間と自由な生活をしている間にカード占いをするのですが、何度繰り返しても結果はどれも「死」と宣告されます。ここの曲の変わり目では、そのカード占いの後の運命を悟ったような表情が印象的ですね。

 

⑤第二幕「ホラ!カルメン

ここからスピードが再びグンと上がっていきます。

カルメン組曲IV Scena

 

ハバネラの部分で勢いに乗りながらもカルメンの表情を忘れず、鋭くジャンプを決める技術は、さすがの金メダリストです。 ザギトワ様になら振り回されたくもなりますね(?)

変わった編曲で2幕の途中で曲は終わってしまうのですが、途中で前奏を挟むことで“予感”を香らせながら終わる演出が面白いです。

マキシム・コフトゥン 2018-19 FS


MAXIM KOVTUN FS - 2019 RUSSIAN NATIONALS, 1st Place | Максим КОВТУН - Чемпион РОССИИ 2019

①(鐘の音:ハバネラ)

②第1幕第10番 フィナーレ:令書だ、出発せい

ホセがカルメンを逃がす数秒間の静けさの中に響き渡る忍び寄るようなハバネラです。

ホセの“普通”の生活が脅かされていったきっかけとなる重要なシーンです。

 

③(鐘の音:ハバネラ)

④第二幕 闘牛士の歌

ここから、衣装の闘牛士の歌が始まります!

ここの闘牛士の歌はスネアドラムが響き渡るマーチのようなリズムが特徴的です。

あなたがた兵士に乾杯しよう、
セニョール、セニョール、なぜなら兵士は
われわれ闘牛士とわかりあえる。
どちらも望んで戦いに赴くのだから。

Wikipediaより)

 

⑤第1幕 ハバネラ

1音1音丁寧に取っていったステップの音ハメが見事です。冒頭の身体をねじるようなセクシーなポーズが印象的。

 

⑥第二幕 闘牛士の歌(スローテンポ)

そして、再び闘牛士の歌です。

闘牛士、気を引き締めろ! 闘牛士闘牛士
そして戦いのなかでも覚えているのだ、
黒い目がおまえを見ていることを、 
そして恋が待っていることを。

Wikipediaより)

この歌詞、いいですね。疲れやすいの後半の心を鼓舞するような歌詞です。

黒い目のコーチではありませんが、黒いアイメイクをしたタラソワ先生は泣きながら彼の演技を解説していたようです。

 

⑦第二幕(第17番)「ホラ!カルメン!」

⑧第一幕(第3番)「おれたちは女子工員たちの帰りを張りにやってきた」

 

こちらも面白い編曲のカルメンです。しかし、なんといってもコフトゥン選手がこのロシア選手権で3年ぶりに優勝したという事実が涙腺を緩ませますね。日本中の黒い目をしたファンがコフトゥン選手を見て涙したことでしょう。(タラソワ先生と一緒に)

編曲は変わっていますが、全体を通して聞くと意外に自然につながって聞こえます。力強い闘牛士が世界選手権でも活躍してくれることに期待ですね! 

 

6.ヴェルディ 「椿姫」

あらすじ

①高級娼婦ヴィオレッタと青年アルフレードが恋に落ちる

②2人はパリを捨て幸せな暮らしをしていたがヴィオレッタはアルフレードの父ジュルモンに交際を止めるよう言われ(アルフレードの妹の結婚にヴィオレッタの娼婦という過去がつきまとうため)別れることもその理由も言わずにアルフレードのもとを去る(別れるという旨は、その後ヴィオレッタからの手紙によって知る)

③再び2人はパリの社交界で出会うが、アルフレードは怒りに身を任せパトロンと共にいたヴィオレッタに金を投げ捨てる

ヴィオレッタは病に倒れ、全てを知ったアルフレードが病床に駆けつけるも遅く、ヴィオレッタは死ぬ。

 

このオペラを一言で表すと、愛するがゆえの犠牲をした娼婦のという感じです。(ヴィオレッタかわいそう)

 

田中刑事 2014-15 FS / 2015-16 FS


Keiji Tanaka 2018 PIW Yokohama

①前奏 (前半)

    ヴィオレッタの悲劇的な死を予感させるような旋律。オペラの演出では、ここでヴィオレッタが登場し物語の先に起こることを予感させるように悲しい面持ちを浮かべていることが多い

 

②第1幕 『乾杯の歌』

    アルフレードが1年前から密かに想っていたヴィオレッタを前にして乾杯の音頭をするアリア。

 

③前奏(後半)

 ここでは2幕の2人の別れのシーンの旋律が使われている。ジュルモンに言われたとおり、ヴィオレッタはアルフレードに別れるという内容の手紙を書いてからパリへ戻ろうとするが、その手紙を書いている間にアルフレードは帰って来てしまう。そこでこの旋律。切ない表情を見せながら、『私を愛してアルフレード、私があなたを愛しているのと同じように』と言って2人の家を去る。(めちゃせつない)

 

④第1幕序奏

 幕が開けたように陽気な旋律でヴィオレッタの家での華やかなパーティがはじまる。

 

田中選手の椿姫は、幕のはじまりを予感させるさわやかな編曲です。この編曲は順番が上下しているようで変わった印象ですが、このオペラの前奏自体に全幕でキーとなる旋律が散りばめられているので、まるで病床の中でヴィオレッタが振り返る思い出の中にいるアルフレードの姿を演じているようにも感じ取れます。

 

7.サン・サーンス「サムソンとデリラ

あらすじ

ヘブライ人たちはガザの広場でペリシテ人に支配され、抑圧されていることを嘆く。その中で同胞たちを鼓舞する存在であったサムソンは、ペリシテ人の美女ダリラから誘惑され、抗いながらも心を奪われてしまう

②デリラは自分の魅力に絶対的な自信があったので、「サムソンなんてイチコロよ☆」とタカを括っていたが、一向に向こうから愛を告げてくれないのでサムソンを憎んでいた。

その時、サムソンがダリラの家に現れ、ためらいながらもデリラに迫られ彼女を愛していることを認めてしまう

そこでデリラは

「愛しているのなら秘密を教えて♡どうしてそんなにあなたは強いの?♡♡」

とサムソンにねちっこく問い、サムソンは拒否するが最後には秘密を打ち明けてしまい、強さの源の髪を切られた挙げ句あっけなくペリシテ人に捕まる。

 

③サムソンは髪を切られ目を潰され挽臼を回す牢獄に入れられる。その後ペリシテ人たちが勝利を祝う寺院にサムソンが連れて行かれ、デリラは自分の計画通りに進んだことを仲間に告げ全員がサムソンをあざ笑う。「くやしかったらお前の信じる神に助けてもらえよ!!!あはは!!!」と挑発されたサムソンは神に最後の懇願をした後その寺院ごと崩壊し、すべてを押しつぶした。(完)

 

このオペラを簡単にまとめると、「敵の人種のめっちゃかわいい子に誘惑されて秘密も話しちゃったけど神様が結局助けてくれてオールオッケー☆(死んだけど)」的な話です。このあらすじだとダリラがただただ怖い女ですが、演出によってはダリラがサムソンのことを本当に好きだったのでは…?という解釈のものもあります。

アシュリー・ワグナー 2013-14 FS 


Ashley Wagner - 2014 World Figure Skating Championships - Free Skating

①バッカナール(オーボエのソロ→主題)

アシュリー選手にしか出せない妖艶な目つきがまさにサムソンを誘惑するダリラのそれです。

 

②第2幕 「あなたの声に私の心は開く」

この歌は簡単に言うとダリラからサムソン向けての「はやく”愛してる”って言えよ!!!」の歌です。サムソンから愛を告げてもらわないと、その先の彼の秘密を聞き出すことができないので彼女は内心焦っているのです。

ああ!応えて私の愛に!

私を陶酔に浸らせて!

サビとなる妖艶な音階では、このフレーズが繰り返されます。しかし、このアリア本当に美しく、聞いているこっちがこの曲に酔ってしまいそうになります。私がサムソンでもこの曲には折れてしまうかも…メゾソプラノの国家と言われる名曲なのも納得ですね。ちなみに、この曲は2回目のサビからサムソンとの2重唱です。美しくとろけるような音楽は絶品です。

 

③バッカナール(主題→激しいヘブライ的旋律の音楽)

テンポとともに滑走スピードも速くなります。最もスピードの上がった時に始まるステップシークエンスの妖艶でエスニックな雰囲気が素晴らしいです。

 

このアシュリー選手のサムソンとダリラは、私が大好きな編曲です。

主にはバッカナールを使用していますが、途中で第2幕の、2人が愛を誓い合う曲を入れてくるところが素晴らしいです。

バッカナールが流れている間というのは、まさにサムソンがダリラ率いるペリシテ人殺されようとしている最中。一度この第2幕の曲を挟むとこで、2人が愛し合っていた時期(デリラが愛していたかは解釈により違いはありますが)を一瞬でも思い出していたかのようで感慨深いです。 

他にも、全てバッカナールで構成されたザギトワ選手のSP(世界ジュニア優勝時)も、曲中の緩急が短いながらにしっかりと表現されており、バンクーバーオリンピックジョアニー・ロシェット選手のFSも、「あなたの声に私の心は響く」から徐々に緩やかなテンポのバッカナール→激しいテンポのバッカナールという移り変わりが素晴らしい編曲です。

 

8.ロッシーニ「セビリヤの理髪師」

あらすじ

①アルマヴィーヴァ伯爵はバルトロ邸のバルコニーに向かってその家に住んでいる娘に愛の言葉を叫ぶ。しかし娘は現れなかったため、何でも屋のフィガロに娘への心を打ち明ける。

バルコニーに出てきたロジーナは同居しているバルトロにばれないように手紙を庭に落とす。それを拾った伯爵はフィガロとともに家の影に隠れる。

手紙には、愛を囁いてくれた男に心から惹かれていること、後見人にバルコニーに出ることが禁止されていることなどが書かれていた。そしてフィガロからは、バルトロがロジーナの資産を狙い今日中に婚約しようとしていることを告げられる。

伯爵は地位を知られぬまま好かれたいと言い「リンドーロ」と名乗りベランダの下から愛の歌を捧げる。その歌を聞いてロジーナはリンドーロと結婚することを決めフィガロに仲介を頼む。そこで伯爵は酔っ払いの軍人のフリをして宿泊証を持ちバルトロ邸に侵入し2人は愛を誓い合う

 

②今度は音楽教師としてバルトロ邸に侵入した伯爵であったが、バルトロに自分が伯爵であるとバレてしまう

そこで教師が帰ったあと、伯爵のことを知らないロジーナに「あいつはアルマヴィーヴァ伯爵にお前を売り飛ばそうとしている」と吹きかけ、悲しんだロジーナはバルトロと結婚することを決めてしまう。

しかしロジーナのベランダに着いた伯爵とフィガロは、彼女がリンドーロを心から愛していることを知り、正体を打ち明ける。伯爵とリンドーロが同一人物であったことを知り、2人はそのまま結婚。めでたしめでたし。

 

大分割愛してしまいましたが、真の愛で邪魔されても結婚を勝ち取った若者の恋愛喜劇です。1つ1つの台詞回しやコミカルな音楽がとっても面白いので、どんな人にもおすすめのオペラです。

山下真瑚 2018-19 SP


Mako YAMASHITA - Skate Canada 2018 - SP

①「今の歌声は」by Filippa Giordano(フィリッパ・ジョルダーノ)

リンドーロ(伯爵)の求愛を受け入れたロジーナが歌う恋のアリア。簡単に言うと「どんな手を使ってもリンドーロと一緒になる!!」という愛に溢れた生き生きとした歌です。

さっきの歌声が私の心に鳴り響いている

あのリンドーロが私の心を撃ち抜いた

そう、リンドーロは私のものよ!

バルトロは拒むだろうけど、知恵を研ぎ澄まして引き下がらせる!

私は勝つと誓ったの!

私は従順でおしとやか

さらに素直で優しくて可愛らしい女の子よ

でももし弱みにつけ込んだなら、毒蛇になって罠をしかけて懲らしめてやるわ!

どうですか、ロジーナちゃん、意外に強気な女の子なんですね。おしとやかとか自分で言っておきながら毒蛇になって罠をしかけて懲らしめてやる!!!とか平然と言えるのめっちゃ怖いですね。

 

しかもこの曲はそのままのオペラ音楽ではないところも特徴的。オペラのアリアをポップスの感覚で歌う歌手の歌声で送るロジーナのアリアです。フレッシュな感覚のオペラ音楽が、若さあふれる山下選手にぴったりです。

このプログラムはなんと言ってもステップ途中で手をパッと開くまこスマイルに、ラストポーズのにこやかなまこスマイルが最高にかわいらしいですね。私がジャッジならGOE500万点あげたいです。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか?

 

ここに書いたのは、ほんの一部のプログラムのみですが、同じオペラでも切り取り方、編曲の仕方で視点が変わっていくことはとてもおもしろいですね。曲によっては、全く別物のように感じられる物もあり興味深いです。全編からまんべんなく様々な旋律を散らしていくのも、一つのアリアで滑るのもどちらにもそれぞれの良さがあります。

 

こんな感じでこの記事を終えたいと思います。

誤りや解釈違いなどあるかもしれませんが、備忘録的な記事なのでお許しを。

 

またオペラを使ったプログラムができたら更新するかもしれません。

 

ではでは。